吉住渉『ウルトラマニアック』

ウルトラマニアック 1 (りぼんマスコットコミックス)

ウルトラマニアック 1 (りぼんマスコットコミックス)

連載:『りぼん』(2002〜2004年)
単行本:りぼんマスコットコミックス(2002〜2004年) 全5巻


 『ママレードボーイ』の作者・吉住渉が、同作品終了の7年後に同じ『りぼん』に連載した魔法少女漫画。2002年にはイベント用作品として、2003年にはアニマックス専用作品としてアニメ化された。作者はこの後、『だって好きなんだもん』を同誌に連載した後、『コーラス』に移って「チェリッシュ」を連載(単行本は近日発売予定)。そして今月末発売の同誌から、新作「スパイシーピンク」の連載を開始することが発表された。
 主人公は、集英中学二年生のテニス部員・立石亜由と、魔法王国(マジックキングダム)から成績不振を理由に人間界に留学してきた魔法少女佐倉仁菜。序盤は、周囲の評価に合わせて「クールビューティー」を演じ続けようとする亜由と、そんな亜由を未熟な魔法で助けようとする仁菜のドタバタ劇が中心であったが、やがて二人の同級生である架地哲士と辻合宏樹、そして仁菜の幼馴染みの桐島由多といった男性陣達との恋愛話へと展開していく。
 一応、亜由、辻合、由多の三人はテニス部員なのだが、実質的にテニスの場面が描かれるのは第一話のみ(それも、かなり断片的)であり、その意味では『ママレードボーイ』以上にテニス漫画とは呼び難い。作者曰く、テニス部という設定は第一話の物語展開のために設定したらしいので(当初は別の運動部を考えていた、とのことなので)、もともと、今回はあまりテニス自体を描く予定も無かったのだろう。
 物語全体の印象としては、良くも悪くもすっきりとまとまった少女漫画であり、ストレスなくサクサクと読み進めるので、「ママレは好きだけど、ちょっと展開にイライラしてた」という人々に強くお勧めしたい。絵柄に関しても、特にデフォルメ時の描写などで最近の少女漫画の影響が強い感はあるが、昔とさほど大きく変わっている訳でもないので、それほど違和感を感じることもないだろう。
 それにしても謎なのが、このタイトルの由来である。本編では「ウルトラ」や「マニアック」といった単語が出てきた形跡はないし、特に「マニア」と呼ぶべき要素も見当たらない。誰か、真相を知ってる人がいたら教えて下さい。