室山まゆみ『あさりvs.どろろんぱっ!』

初出:『ぴょんぴょん』(1990年前後?)
単行本:小学館てんとう虫コミックススペシャル(1992年) 全1巻


 室山まゆみ室山まゆみ&まりこ姉妹の合作PN)が『ぴょんぴょん』で描いた『あさりちゃん』と『どろろんぱっ!』の両作品のキャラが対決する短編シリーズ。正確な掲載時期は不明だが、『どろろんぱっ!』の連載期間が1988年〜1992年なので、その間であると推測される。単行本は『室山まゆみ傑作集』の第1巻として発売された(巻末には書き下ろしの短編「は・あ・と ミラクル」も収録)。なお、『ぴょんぴょん』はその後『ちゃお』に吸収合併され、『あさりちゃん』も移籍して数年間は連載を続けたが、現在は本来の主掲載誌である小学館の学習雑誌のみにて連載中。
 本シリーズは五つの短編から成り立っており、その第一作である「対決 あさりちゃんvsどろろんぱっ!」は、まず現実世界において室山まゆみ&まりこがネタ切れで悩むところから始まる。そして、「二つの作品を同時連載するから、しめきりが守れなくなる」という理由で、両作品の登場人物達を対決させて、勝った方の漫画のみに絞ることを決意し、実際に彼女等にテニスやバスケで対決させることになる(なお、以後の四作品では全く異なる物語が展開されているが、テニスとは関係ないので省略)。
 このテニス対決のエピソードには、『あさりちゃん』のあさり(運動神経抜群の小学生)&タタミ(あさりの姉で秀才の小学生)、『どろろんぱっ!』の小町(百年間浮遊し続ける幽霊)、あんこ(小町が居候する家に住む秀才の小学生)、アンジー(のーなし天使)が登場することになるのだが、その対決の場面は8頁程度しか描かれていないので、内容の説明は即ネタバレとなってしまうため割愛。ただ、いかにも室山まゆみらしい、テンポの良いギャグ試合が展開される、ということだけは記しておこう。
 個人的には、室山まゆみ知名度の割に過少評価されている漫画家の代表例だと思う(両作品ともアニメ版が不遇に終わってしまったこともその一因かもしれない)。老若男女に幅広く受け入れられる王道のギャグ漫画を、この人達ほど安定して描き続けられる人は他にいないのではなかろうか。