金井たつお『レッツ光二』

レッツ 光二 (ジャンプコミックス)

レッツ 光二 (ジャンプコミックス)

連載:『フレッシュジャンプ』(1984年)
単行本:集英社ジャンプコミックス1984年) 全1巻


 パンチラ手法を確立させたゴルフ漫画として有名な『ホールインワン』(原作:鏡丈二)を初めとして、『いずみちゃんグラフィティ』『ロンリーロード』などのお色気系作品を残した金井たつおが、かつて集英社が発行していた若手作家を主体とする月刊誌『フレッシュジャンプ』にて連載していた作品。近年の作者は、『ゴルフレッスンコミック』誌上にて、かわさき健とのコンビで『花?の高校女子ゴルフ部』を連載中。
 主人公は、田舎の学校から都会の乙女山学園中学に転向してきた山下光二。田舎にいた頃は父親の命令で柔道に励んでいたものの、都会に来たことを契機に「モテないから」という理由で柔道を捨てようとしていた彼が、柔道に憧れる美少女・星野かおりとの出会いを契機に、彼女と共に柔道部の再建を目指すことになる、という物語。
 一応、作者自身も柔道経験者(初段)ということもあり、作中での柔道の試合描写はそれなりにリアルではあるが、実際には本作品の最大の魅力は柔道ではなく、主に星野かおりを中心とする数々のお色気シーンであり、あくまでもジャンプ系月刊誌の伝統とも言うべき「ちょいエロ漫画」の系譜の作品として位置付けるのが適切である。
 そして、本作品においてサブヒロインと呼ぶべき立場にいるのが、テニス部員の深町綾である。作中で彼女がテニス部員として活躍するのは一度しかないのだが、その場面は本作品の中でも一つのターニングポイントとなる非常に重要な局面である。また、本作品において彼女がテニス部員であるという設定は、「田舎くさくて、モテないスポーツ」と思われがちな柔道との対比のために必要不可欠な要素であり、(実態はともかく)第一印象としての「清純派の星野かおり」に対する「セクシー派の深町綾」というイメージを読者に植え付けるための重要な記号であるとも言える。
 無論、本作品はテニス漫画では無いし、柔道漫画と呼んで良いかどうかも微妙ではある。なので、あくまでも「青春ちょいエロ漫画」として評価すべき作品ではあるが、個人的には、短期連載作品としては実に綺麗にまとまった良作ではないかと思う。