氏家ト全『妹は思春期』

妹は思春期(1) (ヤンマガKCスペシャル)

妹は思春期(1) (ヤンマガKCスペシャル)

連載:『ヤングマガジン』(2001〜2007年)
単行本:講談社ヤンマガKC(2002〜2008年) 全10巻


 『女子大生家庭教師濱中アイ』や『アイドルのあかほん』などで有名な氏家ト全のデビュー作にして代表作の一つである四コマ漫画。元来は読切としてヤングマガジンに掲載され、以後、6年半にわたる長期連載となった。現在の作者はマガジンSPECIALにて『生徒会役員共』を連載中。
 主人公は、小笠原高校に通う三年生の城島シンジと、一年生の城島カナミの兄妹。標準レベルにエロ好きな男子高校生であるシンジが、天然で耳年増なカナミの下ネタ攻撃に振り回される、というのが初期のギャグのパターンであり、やがてそこに、カナミの同級生である矢野アキ(巨乳・ツッコミ役)、岩瀬ショーコ(彼氏持ち・変態性癖)、黒田マナカ(毒舌・官能小説家志望)、といった面々が加わり、基本的にはひたすら下ネタだけで作品を盛り上げていく。ちなみに、番外編としてカナミの幼稚園児時代を描いた「妹はひまわり組」も存在し(別冊ヤングマガジン連載)、2巻以降の巻末に掲載されている(マナカは、当初はそちらで登場していたキャラであった)。
 ひたすら下品と言えば下品な内容なのだが、比較的あっさりとした絵柄で、露骨な性描写が少ないので、あまりエロティックな雰囲気は感じない。故に、日頃はあまり下ネタ系の漫画は読まない私でも読みやすく、ついつい勢いで読みふけってしまうだけの魅力がある。実際、純粋に言葉の掛け合いによる下ネタ四コマだけで10巻分を描き上げたその技術は、それなりに評価して良いのではなかろか。
 そして、なぜこのブログで取り上げるのかというと、主人公達の従妹で中学生の関川ショーコ(第二巻Vol.10にて初登場)が、テニス部所属だからである。ただし、テニス描写はほぼ皆無であり、ネタとしてもあまりその設定が生かされているとは言えないので、テニス目当に本作品を読むことは、純粋なエロ目当に読むこと以上に無意味だということは断言しておこう(まぁ、誰もそんな人はいないだろうが)。ちなみに、彼女がメインの描き下ろし短編(非四コマ)は第4巻に収録されている。