清水真澄『ちゃーみんぐ』

連載:『ちゃお』(1992〜1995年)
単行本:小学館フラワーコミックス(1993〜1995年) 全7巻


 1990年代の『ちゃお』の看板作家の一人として活躍し、『星空のウェーブ』や『ごきげんなHeart』などで有名な清水真澄の代表作。1993年にはCDドラマも発売された(主演:久川綾)。単行本の最終巻には短編作品の「キャンディーまじっく」と「とっておきのヒロイン」が同時収録されている。近年の作者の活動は不明。
 主人公は、中学2年生の調理部員・白河茶美(ちゃみ)。幼なじみでテニス部員の根本遼太のことを想いつつも、彼の前では素直でいられなかった彼女が、魔法の国から修行のためにやってきた少年・碧(あおい)と出会い、彼の魔法修行に協力することになる、という物語。碧に渡された「魔法のペンダント」の力により、茶美は(自分の意思とはほぼ無関係に)猫に変身する体質になってしまい、そのことを契機として様々な事件に巻き込まれていくことになる。
 基本的には、茶美と遼太のさわやかな恋物語が主軸なのだが、遼太に興味を示す隣のクラスの立花みかや、魔法の国から人間界に逃げ込んだ王子・流(りゅう)など、様々な人物達が登場し、物語を盛り上げる。そして、4巻の後半からは、テニス部の後輩として進藤彩という少女が登場し、彼女に触発される形で茶美やみかがテニスを始めるというエピソードも描かれるなど、徐々にテニス描写の割合が増えていく。とはいえ、試合や練習の描写自体が物語に大きな影響を与えている訳ではない。
 個人的には彩が結構萌えツボであり、彼女が登場する後半の物語の方が面白いと思うのだが、基本的には「主人公達の恋物語を邪魔する役」なので、当時の『ちゃお』の読者層の中では評判は悪かったらしい。まぁ、それはそれで「優秀な悪役」の証明ということでもあろう。
 全体的に、現代ファンタジーとしては実によくまとまった内容であり、絵的にも構成的にも読みやすい。「魔法の力で何でも解決」ではなく、「魔法の力をいかに制御するか」というコンセプトの作品なので、それぞれのエピソードもそれなりに凝った物語に仕上がっている。ちょっと途中でクドい展開はあるけど、それはそれで少女漫画のエッセンスだしね。