おおめ裕一『未来(みく)ちゃん旋風』

連載:『月刊少年ジャンプ』(1992-1993年)
単行本:集英社ジャンプコミックス(1992-1993年) 全2巻


 『月刊少年ジャンプ』にて連載された作品。当初は読切シリーズとして三編にわたって描かれ、その後に微妙に年齢設定等を変えた上で連載化した(読切版は全て2巻の巻末に収録)。作者のおおめ裕一にとっては、おそらくこれが唯一の単行本作品であり、他にどのような作品を描いていたのかは、残念ながら不明。
 主人公は、14歳の中学生・北原省吾。彼の父親は空手登場の主であり、彼はその父の再婚により、同い年の少女・未来(みく)と兄妹の関係となる。彼女は「服を着ることで、その服の持ち主の能力を得る」という特異体質であり、省吾の近辺で巻き起こる様々な事件に対して、彼女が様々な服へと着替えつつ、その能力を使って立ち向かっていく姿が描かれる。
 上記の展開と掲載誌から想像出来る通り、典型的な「ちょいエロ漫画」である。当初は未来の着替えを中心として披露されていたお色気シーンは、途中から「相手と裸で抱き合うことで直接能力を得る」という設定も加わったことで、更に過激さを増していく。
 未来が挑戦する種目は、空手、柔道、バスケなど多岐に及んでいるが、第4話では同じクラスで金持ちの令嬢である花房冴子と「1ポイント取られるごとに服を一枚脱ぐ」というルールでテニス対決するという展開が描かれる。試合の場面自体は短いが、少ないコマ数でそれなりに躍動的な動作を表現出来ており、月ジャンエロコメ漫画にしては十分な描写と言える。
 設定も面白いし、少年誌的としてはエロさも十分なので、もう少し人気が出ても良さそうな作品だと思うのだが、あえなく僅か9話で打ち切られてしまった。ヒロインを際立たせるためとはいえ、主人公がルックス的にもキャラ的にも情けなさすぎたのが、不人気の一因だろうか。あとは、上記の冴子や、2話で登場するサキ&お竜、そして6話で登場する玲といったゲストヒロイン達を再登場させることで有効活用すれば、もう少し話としても盛り上がったのかもしれない。そう考えると、色々な意味で惜しい作品だと思う。