イタバシマサヒロ(原作)/玉越博幸(漫画)『BOYS BE... 新恋愛白書』

連載:『週刊少年マガジン』(1991〜1996年)
単行本:講談社マガジンKC(1992〜1997年) 全32巻


 イタバシマサヒロ玉越博幸が『週刊少年マガジン』で長期連載した作品。基本的には一話完結型のオムニバス作品集であり、毎回異なる(主に高校生を中心とした)男女の恋愛物語が描かれる。そして、第7巻に収録された第55話「あいつの妹に・・・・ラブ」においては、テニス部の男女を主人公とした物語が描かれるため、本レビューでは主に上記のエピソードについて紹介する。
 高校生で男子テニス部員の寺村が、幼馴染の柔道部員・伊藤拡成(ひろしげ)に誘われて、数年ぶりに彼の家に遊びに行くところから物語は始まる。彼等と伊藤の妹・雅美(中3)の3人は、幼い頃によくミニテニス(手打ちで小さなコートで打ち合うテニス)を遊んだ仲であったが、伊藤の家で久しぶりに雅美と再会した寺村は、美しく成長した彼女の姿に驚く。そして拡成の提案で、寺村は雅美にテニスを教える約束をすることになる。
 基本的に「女の子の可愛さ」と「思春期のドキドキ感」の魅力だけで長期連載を勝ち取った作品なのだが、さすがにこの第7巻の頃の絵柄はちょっと古いかな、という気はする。ただ、全体的にこの時期(初期)の方が「淡い」雰囲気の作風であり、その意味では正統派の恋愛漫画が好きな人には向いているだろう。内容は、良くも悪くも「予想通りの展開」ではあるが、「健気な妹or後輩」が好きな人にはお勧め出来るエピソードかな。
 テニス漫画としては、寺村と雅美の練習風景が描かれている他に、「ミニテニス」という、他ではあまり見られない競技が描かれている点が興味深い。ただ、現在の日本で一般に知られている「ミニテニス」とは全く異なる内容なので、その点は注意が必要である。
 なお、他に「テニス部少女」を描いた話としては、第180話「季節はずれの花火」(第24巻収録)や第242話「ヒミツの自転車教室」(第32巻収録)もあるが、前者では部活の風景は一切登場せず、後者もテニスウェア姿が1ショット描かれるのみなので、まともにテニスを題材とした物語は上記の第55話のみである。番外編も含めて全255話(全32巻)のうち1話のみというのは、類似品の「Because...」(全5巻中2話)と比べてもかなり少ない。だが、この傾向は続編の「2nd Season」で急変することになる(次週に続く)。