秋本治+α『超こち亀』

超こち亀 (ジャンプコミックス)

超こち亀 (ジャンプコミックス)

初出:『週刊少年ジャンプ』(2006年)
単行本:未発売


 『週刊少年ジャンプ』史上最長の、そして日本屈指の長期連載漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の連載30周年記念に発売された増刊号。作者である秋本治の他、80名以上の漫画家達による、合作漫画、対談、そして「こち亀キャラinアナザーワールド」と題された1頁トリビュート漫画によって構成されている。本レビューでは、その中の一つとして159頁に描かれた『テニスの王子様』の作者・許斐剛の手による1頁トリビュート漫画について主に取り上げる。
 構成は僅か3コマ。主人公である両津寛吉が『テニスの王子様』の登場人物の一人と対戦するという話。1コマ目で両津が「クソッ、なんだコイツら! 本当に中学生かよ!?」と必死の形相で叫び、2コマ目では両者が対戦しているテニスコートの全体像が遠景として描かれ、そして3コマ目で両津の対戦相手のアップ&台詞が登場する、という展開になっており、その下に許斐剛による秋本治への祝福コメントが載せられている。
 許斐剛の描く両津は、思いのほかオリジナルに似ており、一瞬、秋本治本人が描いたのかと見間違うほど。だからこそ、3コマ目に登場する某キャラ(およびその台詞)とのギャップが面白い。もっとも、それはこの「3コマ目のキャラ」のパーソナリティを理解している読者、すなわち『テニスの王子様』の愛読者でなければ伝わりにくいギャグではあるのだが。まぁ、100%出オチの一発ネタなので、さすがにこれ以上のコメントは割愛させてもらおう。
 他の執筆者陣は、基本的にはジャンプで描いたことのある漫画家が中心ではあるが、長寿漫画という意味でよく並び称される『ゴルゴ13』のさいとうたかをや、『ルパン三世』のモンキー・パンチなど、様々なジャンルの大物達が顔を揃えており、ただの「お祭企画」とは思えないほどの豪華なラインナップとなっている。
 あくまでも『週刊少年ジャンプ』の増刊号扱いなので、当然、現時点では絶版だが、中古本はamazonマーケットプレイスでも大量に出回っているので、入手はそれほど難しくない。というか、ジャンプ愛読者であれば必ず手にしておくべき必読本だと私は思う。