車田正美『風魔の小次郎』

風魔の小次郎 1 (集英社文庫(コミック版))

風魔の小次郎 1 (集英社文庫(コミック版))

連載:『週刊少年ジャンプ』(1982〜1983年)
単行本:集英社ジャンプコミックス(1982〜1984年) 全10巻
    集英社ジャンプコミックスセレクション(1993年) 全6巻
    集英社文庫コミック版(2000年) 全6巻
    集英社JUMP REMIX(2004年) 全6巻


 『リングにかけろ』や『聖闘士星矢』などで有名なジャンプのバトル漫画の第一人者である車田雅美の代表作の一つ。1989〜1992年にはOVA化、そして2007年にはテレビドラマ化も果たした。また、由利聡が作画を担当するスピンオフ作品『柳生暗殺帳』も存在する。近年の作者は『週刊少年チャンピオン』にて『聖闘士星矢 冥王神話 NEXT DIMENSION』を連載中。
 物語は、白鳳学園武道指南役の柳生蘭子が、中央アルプスの不動岳に存在する忍の一族・風魔の里を訪れる場面から始まる。学園の危機を救うため、風魔の力を借りることを風魔の総帥に懇願する蘭子に対し、総帥以外で里に残る唯一の忍・小次郎は当初は渋っていたものの、学園長代理の北条姫子に一目惚れしたことから、様々な部活動に助っ人として協力することになる。
 伝統的に白鳳学園はスポーツの名門校であったが、近年はライバルの誠志館高校による引き抜きや妨害工作によって苦境に立たされていた。そのような状況下で小次郎は、野球、サッカー、柔道、陸上など、様々な部活に助っ人として参戦するのであるが、その中でテニス部にも協力している場面が描かれる。ただし、その描写は1コマのみなので、実は本ブログで取り上げる意味は殆どないのだが、「車田漫画の主人公がテニスをしている場面」が存在すること自体が、それだけで一種の特筆すべき事項であるようにも思える。
 ただし、本作品が「スポーツ漫画」として描かれるのは序盤のみであり、やがて誠志館高校の黒幕の壬生一族やサイキックソルジャー・飛鳥武蔵などの強敵達と風魔一族との集団バトル漫画へと発展していく。敵味方問わず次々と命を落としていく激しい展開は、まさに車田漫画の真骨頂である。
 リンかけや星矢に比べると連載期間も短く、知名度でもやや劣るものの、内容的には決してそれらにひけをとらない名作であり、ジャンプのバトル漫画を語る上では避けて通ることの出来ない作品であることは間違いない。