こすヨメ'11について

 もう発表から一週間近く経ってますが、今更ながらに一参加者として、今回の「こすヨメ」に関するコメントというか雑感を色々。
 今回、私が投票した作品の中では『1/11』が最上位だったようで。もともと、この手の企画は、こういった「その年に始まったばかりで、まだ一般には名の知れていない作品」が上位に名を連ねるのが定番なので、当然と言えば当然の結果でしょう。
 一方で、今年の1位は『惑星のさみだれ』でした。以前からこの企画内では常連だった印象ですが、無事に完結した去年(集計は今年)になって遂に栄冠を手にした訳です。ちなみに、この企画内で「完結した作品」がトップだったのは、まだ参加者数が少なかった第一回の時の『任侠沈没』だけで、他は基本的に「新規作品」がトップでした。
 その意味でも非常に印象的な結果であると同時に、私の中では少しモヤモヤした感情が改めて浮かび上がってきた結果でもあります。決して、この結果が不満な訳ではありません。ただ、改めて「連載漫画の賞レース」の評価基準について、ちょっと色々と考えさせられた訳です。
 私は以前から、「作品の価値は、完結してから評価すべき」というのが本来の持論です。だからこそ、この「テニス漫画レビュー」では完結作品しか紹介しません。しかし、この企画の元ネタである「〜すごい」と「〜読め」は、どちらも未完作品が中心です。しかも、前述の通り、「まだあまり名の知れていない作品を紹介する」という意図が強いです(ただ、稀に昨年のワンピースのように「既存作品が、更に面白くなった」というパターンにおいては、それらの作品の順位が向上することもあります)。
 最初に「こすヨメ」に誘って頂いた時点で、私はこのような風潮を考慮した上で、あえて「その年に完結した作品」は避けました。無論、これはただ空気を読んだというだけではなく、いつもは完結作品しか扱っていない身だからこそ、「たまには未完作品も紹介したい」という純粋な私の欲求もあった訳です(実際、運営側からは特に何の要請もありませんでした)。
 なので、繰り返しますが「完結作品が一位になったこと」自体には何の不満もないのです。むしろ、新規作品優位な空気の中で、それでも数多の新規作品を撥ね除けて受賞するほどに「最後のまとめ方」が秀逸だったということなのでしょう。そのような形で「完結作品」が評価されることは、非常に重要だと思います。特に、今回は掲載誌的な意味でメジャーな漫画とは言い難いだけに、このような形で皆さんの投票によって存在を知らしめることには、大きな意義があるでしょう。
 ただ、個人的にはどうしても、このような形で「新人賞候補作品」と「殿堂入り候補作品」を同じ土俵の上で競わせてしまっていいのかな、という点が、ちょっと疑問に思えてしまう訳です。
 つまり、現実問題として新規作品紹介を主目的として選ぶ人々が多いのであれば、いっそ「連載開始から2年以内」などといった形で絞った方が、よりすっきりした結果が出るのではないかと思うのです。その上で、たとえば日本のSF界における「星雲賞」のように、「前年に完結した作品」の中から最高の作品を選ぶ独自の賞が、それとは別に存在すべきなのではないか、と。
 実際、もし最初から「今年完結した作品に限る」という前提であれば、『鋼の錬金術師』はもっと上だったかもしれません。逆に「新人賞」に限るのであれば、おそらくは『進撃の巨人』が一位だったでしょう。「これから面白くなりそう」と「最後まで面白かった」を同列に並べて順位をつけるよりは、これらの作品の価値を別個に評価した方が、より「何のためのランキングなのか?」がはっきりすると思う訳です。
 とはいえ、本家の方はともかく、「こすヨメ」はあくまで我々素人のお祭り企画ですので、「そこまで細かいコト考える必要ないんじゃないか?」「むしろ、そんな限定が無い方が、より多くの人々が気楽に参加出来るのではないか?」とも思います。なので、私は来年も(開催されるなら)今まで通りに参加し続けるつもりですし、運営方針の転換をヒロさんにお願いする気もありません。
 ただ、そういった一種の「漫画大賞」とは別に、こういった形での「よりコンセプトを明確化した特別賞」を選んでみることにも意義があるのではないか、とも思う訳です。なので、もしこの考えに賛同して下さる方がいるなら、私が主催として募集してみてもいいかな、と考えてる次第ですので、御意見を頂ければ幸いです。