田辺真由美「ムコ☆ムコ」(『見合いへGO!』収録)

見合いへGO! (愛蔵版コミックス)

見合いへGO! (愛蔵版コミックス)

連載:『YOU』(2006〜2009年?)
単行本:集英社愛蔵版コミックス(2008年) 全1巻


 『まゆみ!』や『カトちゃんケンちゃん』で有名な田辺真由美が『YOU』にて描いたエッセイ漫画。単行本としては、その中の「お見合い」に関する話の一部を抽出して『見合いへGO!』の名で発売された(本記事にて紹介するのはこの部分)。現在の作者は『マジョ☆りかキッチン』を『マーガレット』にて連載中。なお、『華夜叉』や『霧幻綺譚』の作者の田辺真由美は別人。
 主人公は、30代でバツイチ子持ちの漫画家・真田美(マタミ。作者とは別人という体裁)。埼玉の実家(農家)で子供を育てながら漫画を描いていた彼女が、出会い&再婚を求めて、担当の男性編集者(通称:メルヘン)や友人達と共に、都内・大宮・浜松など、様々な場所で開催される「お見合いパーティー」に参加するエピソード(およびその後日談)が描かれる。
 実際に作者が自腹で参加したお見合いパーティーの体験に基づいて描かれた物語で、あくまで「事実を基にしたフィクション」であるらしいが、どこまでが実話なのかは不明。ただ、柱スペースの作者とメルヘンの発言などから察するに、かなり実話寄りの話と思われる。また、単行本版に掲載された作者のコラムでも「本気の参加」であったことは強調されている。
 ちなみに、真田美は高校時代はテニス部に所属しており、「そんなハズでは〜大宮編〜」(単行本内における6番目のエピソード)では、その頃からの女友達・まっつんと共にお見合いパーティーに参加し、テニス経験者の男性と会話を弾ませる場面が描かれる。やはり、このような出会いの場において「共通の趣味」は、関係を緊密化させる上での重要な鍵になるようだ。
 バツイチ子持ちの女流漫画家の自虐的エッセイとしては、サイバラくらたまほどのパンチ力はないが、少ないページ数でテンポ良く笑いを盛り込んでおり、読者を飽きさせない。時事ネタや懐かしネタなど、読者層を限定する要素も多いが、30代以上の人々なら男女問わず楽しめる内容だと思う。