小笠原真『電脳遊戯クラブ』

電脳遊戯クラブ 1 (少年サンデーコミックス)

電脳遊戯クラブ 1 (少年サンデーコミックス)

連載:『週刊少年サンデー』(2009〜2011年)
単行本:小学館サンデーコミックス(2009〜2011年) 全5巻


 『兄ふんじゃった!』で有名な小笠原真(しん)が、同作品と同じ『週刊少年サンデー』で連載した作品。単行本は全5巻(ただし、未収録話多数)。
 当初は、天才的なプログラム技術を持つ中学一年生の源ニシンが、ゲーム制作を主活動とする電脳遊戯クラブの一員となり、様々な事件を引き起こすドタバタ系のギャグ漫画であったが、物語が進むにつれ、徐々にゲームと関係ない話が中心となり、最終的にはニシンすらも登場しなくなり、「師匠」と呼ばれる謎の中年男性を主役とした漫画へと変貌していくことになる。
 登場人物の大半は変態や人格破綻者であり、そんな彼等が自分の欲望のままに支離滅裂なゲームを作っていく過程が、本来の本作品のウリだったのだが、途中からはそのコンセプトを捨て、様々な迷走の末に主人公までも切り捨ててしまった(雑誌連載時には『喝!! ワシが師匠ぜよ!』に改題された)。
 本作品には単行本未収録回も多いのだが、その一つとして、2010年47号掲載話では、BLゲーム『ラッキードッグ』の主役四人を外見的モチーフとしつつ、四大少年誌を擬人化した「ジャン」「サン」「マガ」「チャン」という少年を登場させるという、かなり特殊な合成パロディを披露している。
 その中の一人のマガ(外見はルキーノ)はスポーツマンで、部活は「ボクシング、バスケ、テニス、サッカー、あと野球が三つ」を掛け持ちしているらしい。これは当時のマガジンのスポーツ漫画の題材であり、当時の同誌のスポーツ漫画志向がよく分かる。ただ、個人的には、三つ目の野球(BLACK OUT)を認めるなら、テニスも(GEも加えて)二つと言ってほしかった。
 正直、初期の頃は面白かったが、中盤以降は「面白い回」と「つまらない回」のギャップが激しく、徐々に後者の割合が高まっていく。「師匠」に関しても、初登場時の話は実に秀逸なネタだったのだが、なぜか単行本ではその話が収録されないという、不可解な編集となっており、非常に勿体ない。