尹仁完(原作)・梁慶一(漫画)『DEFENSE DEVIL』

DEFENSE DEVIL 4 (少年サンデーコミックス)

DEFENSE DEVIL 4 (少年サンデーコミックス)

連載:『週刊少年サンデー』(2009〜2011年)
単行本:小学館サンデーコミックス(2009〜2011年) 全10巻


 『新暗行御史』で有名な韓国人の尹仁完(ユン・イナン)と梁慶一(ヤン・ギョンイル)が『週刊少年サンデー』で連載した作品。現在は『月刊サンデージェネックス』にて、それぞれ別の相方と組んで新作を連載中。
 主人公は、魔王の息子でありながら、優しすぎる性格故に魔界を追放された末に、無実の罪で地獄に落ちようとする人間を救うための「地獄の弁護士」へと転身した悪魔・クカバラ。当初は、彼が依頼人の無実を証明するための証拠集めなどを主体とした物語であったが、徐々に、彼を追放した弟・レガートとの対決を主体としたバトル漫画へと転換していくことになる。
 そんな中、本来は悪魔にとっての天敵である筈のシスター兼エクソシストの少女・イダマリア(ヒロイン)と彼が、様々な経緯で共闘を余儀なくされることになり、二人のコンビネーションを鍛えるために、テニスのダブルスの特訓を強いられる物語が第4巻にて描かれる。テニスと言っても、途中からは純粋な「ラケットとボールを使ったバトル」となるのだが、宿敵同士の共闘のための訓練としてのテニスのダブルスという発想は、なかなか面白い。
 画力はかなり高く、キャラも魅力的で、物語のテンポも悪くないのだが、どうにも主人公の「弁護士」という設定が、個人的には引っかかる。弁護士とは本来、「法」に基づいて善悪を語る存在なのだが、本作品においては、何の「法」に基づいて判断しているのかが不鮮明のため、どうにもその「有罪/無罪」の説明が腑に落ちないことが多い(特に第1話の場合、少なくとも現代の日本の法律に照らし合わせて考えれば、明らかに「有罪」である)。
 作者は「正義とは何か?」をテーマにしたいと語っていたが、「弁護士」はそもそも正義のために闘う仕事ではないので、その設定は不要だったのではなかろうか。実際、「弁護士」のこだわりが弱まり、純粋な悪魔間の権力争いが主体になった後の物語の方が(単純ではあるが)面白いと私は思う。