細野不二彦『どっきりドクター』

連載:『週刊少年サンデー』(1981-1982年)
単行本:小学館サンデーコミックス(1981-1982年) 全4巻
    小学館SVコミックス(1991年) 全2巻
    小学館少年サンデーコミックス ワイド版(1998年) 全2巻


 『さすがの猿飛』『Gu-Guガンモ』『ギャラリーフェイク』などで有名な細野不二彦の代表作の一つ。週刊少年サンデーで連載され、一年足らずで終了したものの、その16年後にテレビアニメ化を果たした。現在の作者は『ビッグコミックスピリッツ』にて『電波の城』を連載中。
 主人公は、白ばらクリニックの院長にして、七星中学校の校医でもある25歳の男性医師・綾小路はるか。巨漢&巨顔のいかつい風貌だが、中身は気弱な性格の彼が、様々な発明品を生み出してトラブルを引き起こすというドタバタ・コメディー作品である。序盤は、彼の作り出す発明品がトラブルの原因となる話ばかりだったが、途中からは異星人・異世界人・超能力者なども登場し、物語はより混沌とした方向へと発展していくことになる。
 そんな中、第3巻に収録されている「柔道でどっきり」&「いとしい人はタダの人」においては、はるかが校医を務める七星中学の男子柔道部と女子柔道部の確執の話が描かれるのだが、その中で女子柔道部の主将・秋本が、部活終了後にテニスウェアを着て登場する場面が、僅かではあるが存在する。
 実際のテニスの場面が描かれる訳ではなく、日頃の柔道着姿とのギャップのための演出にすぎないのだが、このような形でテニスと柔道を対極に置く姿勢は、この数年後に描かれた『レッツ光二』にも共通する手法であり、当時の漫画界における両スポーツの扱われ方がよく分かる一コマと言えよう。
 当時はまだ作風が確立されていなかったのか、起承転結のはっきりした分かりやすいギャグの回もあれば、最後までシュールな笑いに徹する回もある。ただ、彼の描く女性は、幼女も熟女もひたすら可愛いという点だけは、全編通して一貫している。今ではもう絵柄も全然変わってしまって、今の絵は今の絵で魅力的ではあるんだが、この80年代の細野不二彦こそが、本当の意味で「エロ可愛い」という称号に相応しいと思うのは私だけだろうか。