「このマンガが凄そう! 2012」

 さて、例年ならこの時期は「こすヨメ(このマンガが凄いから読め)」の記事を書いてる訳ですが、残念ながら今年は主催者さんの事情で開催されないとのことですので、今週&来週は、前々から密かに考えていた新企画を試してみようと思います。
 まず、今週は「このマンガが凄そう!」と題して、「今年、初単行本が発売されて、まだ完結していない作品」について取り上げてみようかと。いわば、「こすヨメ」や、その元ネタである『このマンガが凄い!』や『このマンガを読め!』の新人賞版です。
 そして来週は「このマンガが凄かった!」と題して、「今年、最終巻が発売された作品」について語ってみようと思います。いわば、SF界における「星雲賞」の漫画版に相当する企画です。
 以前にこちらの記事でも書いた通り、私は前々から「『新規作品への期待』と『完結作品への評価』は、別基準で評価した方がいいのでは?」と考えておりましたので、今年は試運転的に、自分の中でのこの二つのランキングをまとめてみよう、と考えてみました。
 ということで、まずは今週は「今年、初単行本が発売されて、まだ完結していない作品」を挙げてみたいと思います(「今年始まって、既に終わった作品」については、来週のランキングの方で紹介する予定です)。


5位 葵蜜柑ライジングハーツ』

ライジングハーツ 1 (ニチブンコミックス SH comics)

ライジングハーツ 1 (ニチブンコミックス SH comics)

 テニス漫画界の期待の新星。「ゴラク増刊の萌え漫画雑誌」という、よく分からないコンセプトの『さくらハーツ』の一角を担う存在。作者が成人漫画系の人なので、絵柄は典型的な美少女漫画だが、中身は「初心者が強豪テニス部の中で成長していく」という王道のスポ根作品。両手打ちのライジングが得意な主人公というのも、意外に珍しいのではなかろうか。


4位 稲山覚也てんむす

てんむす 1 (少年チャンピオン・コミックス)

てんむす 1 (少年チャンピオン・コミックス)

 「大食い競技」に青春を賭ける少女達の物語。団体戦のルールが絶妙で、一つ一つの試合の勝敗の予想が立てにくく、また対戦相手のドラマを盛り上げるのが非常に巧いこともあり、全編通してスポーツ漫画としての臨場感に溢れている。舞台が名古屋なので、中日の選手の名字のキャラが多く、時折名古屋弁が登場する辺りも、名古屋人としては読んでて楽しい。


3位 福田宏『常住戦陣!! ムシブギョー

常住戦陣!! ムシブギョー 1 (少年サンデーコミックス)

常住戦陣!! ムシブギョー 1 (少年サンデーコミックス)

 クラブサンデーの『ムシブギョー!』が、本誌に移って一から仕切り直した伝奇時代劇作品。江戸時代の蟲退治というディープな題材でありながら、作者が藤田門下ということもあり、近年のサンデーでは珍しい超正統派のバトル系少年漫画に仕上がっている。個人的には「礼儀正しくてバカな主人公」には好感が持てるので、看板作品へと成長してほしい。


2位 井上純一中国嫁日記

中国嫁日記 一

中国嫁日記 一

 TRPG界の奇才・井上純弌(本作品では「純一」)が、ブログ上で描いていた「中国人の奥さん」との生活を描いた四コマ漫画。単行本化されると同時に脅威の売り上げで、この人がすっかり「遠い存在」になってしまったことが、TRPG者としてはちょっと複雑な心境。単行本描き下ろしの「出会い編」や、それぞれの四コマへの月さんのコメントなども、読んでて楽しい。


1位 小野寺浩二カバディ7』

カバディ7 ?

カバディ7 ?

 13年前に「カバディRPG」を作った身としては、タイトルを聞いただけで即買いの作品だったのだが、そんな私の期待をも遥かに上回るクォリティに驚愕。初期の島本和彦作品が持っていた「どこか間違ったアツさ」を、更に間違った方向へと発展させた超暴走型スポーツ漫画の究極体。それでいて、きちんとカバディの基本も踏まえた試合描写となっている辺りのバランス感覚も絶妙。どこまでこの勢いを維持出来るか、3巻以降にも期待したい。


 ということで、とりあえずは「こすヨメ」の時と同じ形式で「ベスト5」まで挙げてみました。
 もし、この企画に賛同して、同じような形でランキングを作って下さる方がいれば、リンクなどを貼らせて頂きたいので、御一報下さい。ただ、あくまでもまだ試運転企画ですので、ポイント制などを用いて「参加者全体のランキング」などを作る意図はありません。
 ですから、「5作品も選べない」or「5作品では収まらない」という方は、お好きな数だけ並べて頂ければ構いませんし、「作品間で順位をつけることは難しい」と思うのであれば、ただ書いて並べるだけでもいいです。本格的に合同企画として始めるのは、来年以降の予定ですので、まずはこの企画全体の方向性に賛同して下さる方々を募った上で、色々な並べ方を試しつつ、その中でベストの形式を考えていきたいと思います。