堀田和哉「兄弟テニス」

初出:『月刊少年ガンガン』(2006年)
単行本:未発売


 2006年の『月刊少年ガンガン』誌上で幾度か読切を掲載した堀田和哉の短編作品の一つで、同誌の同年2月号に掲載(同号には同じ作者による別の読切「サバンナの転校生」も掲載)。現時点では作者は単行本を一冊も出しておらず、翌年以降は活動した形跡もないため、今後も発売される可能性は低いと考えられる。
 物語の登場人物は「兄」と「弟」と呼ばれる二人のテニス選手(?)。高校テニス選手権大会の決勝戦で対決した二人が、龍を呼び出したり、テニスボールとボーリングの球を入れ替えたり、といった意味不明な技の応酬を繰り返して戦う物語のように見せかけて、最後の最後でいきなり急転直下のオチが待っている、という話。
 ギャグというものは、純粋に諸個人の「ツボ」にハマるか否か、というだけの問題なので、その意味では客観的な評価というものが非常に難しい。どれだけ絵が汚くても、それが「ギャグのための演出」なのか、「純粋に絵が下手なだけ」なのか、我々素人には区別が出来ない。故に、本作品のようなシュール系のギャグ漫画に関しては、コメントすること自体が極めて困難である。
 正直、本作品の「オチ」はあまりに唐突すぎて私にはついていけなかったし、全体的に今ひとつ、何をやろうとしたのかもよく分からない。もしかしたら、ダンディ坂野的な意味での「つまらないこと自体の持つ面白さ」を、「分かる人にだけ分かればいい」という覚悟で伝えようとしたのかもしれないが、ガンガンのようなストレートな少年誌でこのような作品を載せるのは、さすがに戦略として無謀ではなかろうか?
 テニス描写に関しては、上記の通り「シュール」と呼んでいいかどうかも微妙な絵柄で、およそテニスとかけ離れた内容の試合が展開されているため、少なくとも「テニス漫画」として評価することは出来ない。というか、そもそもテニスである必要があったのかな? という気もする(多分、ない)。
 まぁ、おそらく単行本化されることもないだろうし、特にお勧めする理由もない。個人的には、645頁の最後の兄の台詞なんかは、ちょっと面白いと思ったんだけどね。