庄司陽子『ダーリン騎士団』

ダーリン騎士団 1 (フェアベルコミックスシリーズ)

ダーリン騎士団 1 (フェアベルコミックスシリーズ)

連載:『週刊少女フレンド』(1985〜1987年)
単行本:講談社フレンドKC(1985〜1987年) 全4巻
    講談社漫画文庫(1997) 全2巻
    フェアベル(2007年) 全3巻


 『ラストショット』の庄司陽子が描いたもう一つのテニス漫画。大ヒット作『生徒諸君!』の終了後に『週刊少女フレンド』にて連載された作品であり、『生徒諸君!』と同じ世界観を共有する(故に、『生徒諸君!』の続編として紹介されることもある)。
 主人公は、オーストリア人とのクォーターである蓬田(よもぎだ)イングリッド林子(りんこ)。彼女と、彼女の従兄弟にあたる蓬田霖太郎(りんたろう)、本多倫里(ほんだ・ともさと)、港田臨(こうだ・のぞむ)、左右田藺(そうだ・いぐさ)、岡田吝(おかだ・おしむ)、簑田凛(みのだ・りん)、リン翼志田(よくしだ)の七人による「ダーリン騎士団(全員、苗字の最後と名前の最初の文字を合わせると“ダーリン”になる)」が、様々なトラブルを巻き起こす、というストーリー。物語は、函館に住んでいた林子達が東京の望泉学園へと転校するところから始まり、やがて林子はテニス部へと入部することになる。
 テニス漫画としては、入部直後の部長・吉田厘子との試合と、その後の聖美ヶ丘高校との対抗戦が最大の見せ場であり、「テニスは格闘技」という林子の発言に代表されるように、『ラストショット』の頃とは対照的な泥臭い死闘が展開されている。また、後者においてはコーチとして、同校の卒業生である北島尚子(『生徒諸君!』のナッキー)が登場するのだが、実は『生徒諸君!』の中でも一瞬だけナッキーがテニスに興じる場面があり、そのことを覚えている人々にとっては、ニヤリとさせられる演出と言えよう。
 物語全体の構成としては、上記の「ダーリン」の設定を初めとして、色々な意味で「やりすぎ」感が強く、正直言って私も最初はちょっと引いてしまったのだが、これはこれで開き直って楽しめば、十分に面白い作品ではある。ただ、直前の『生徒諸君!』と比べて短命に終わってしまったことを考えると、やはり当時の人気もイマイチ伸び悩んでいたのであろう。テニス漫画としては見どころも多い作品だけに、その点が評価されずに埋もれてしまっているのは、非常に勿体無いと私は思う。