いけだじゅん『ごむまり』
- 作者: いけだじゅん
- 出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス
- 発売日: 2008/01/24
- メディア: コミック
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単行本:幻冬舍バーズコミックス(2008年) 全1巻
宙出版や新紀元社などで漫画家/イラストレーターとして活躍しているいけだじゅんが、双葉社の四コマ漫画雑誌『漫画アクション増刊もえよん』で描いた初めての連載作品。連載終了の3年後に幻冬舍から単行本として発売された(同時収録は「美空のゆめプラン」「てんのとり方」「ポキポキ」「appeal」「Run Run Run!」「おすすめ」)。現在の作者はWebコミック雑誌『MAGNA』にて『スクぱ!』を連載中。
主人公は、高校一年生の森川美澄。中学以来の友人・中嶋瑞穂や、同じクラスの男子生徒・福田真澄などと共に軟式テニス部に入部した彼女達の、ほのぼのとした友情と恋愛を描いた物語。回が進むにつれて、ドジッ娘の同級生・佐川さつき、美澄の姉の結里、真澄の中学からの友人の横輪慶、そして彼等の後輩である小川せせらなど、様々なサブキャラクター達が登場して、物語を盛り上げる。
作風としては、いわゆる「まったり系」の四コマ漫画であり、それぞれの四コマのオチ自体は弱いが、作品全体を通しての学園ラブコメ的展開は、ベタではあるが面白い。特に、結里やせせらが登場した後の美済と真澄のニヤニヤ的展開は実に楽しい。
テニス漫画としても、さすがに四コマなので本格的な描写は少ないが、(実質的にはギャグとしてだが)「スクリーン」などの技も取り入れている辺り、それなりに楽しめる内容ではある。ただ、むしろ本筋である筈のテニスを題材としたネタよりも、話の端々で登場する野球ネタの方が面白かったりするのが、問題と言えば問題か。
雑誌自体のコンセプトが、その名の通り「萌え系四コマ漫画」だったことを考えれば、その枠の中で成立し得る範囲内での極めて良質な作品であったと評価して良かろう。もう少し続けば、更に色々なキャラが登場して面白くなったかもしれないのだが、残念ながら雑誌の廃刊と共に終了してしまった。ただ、その廃刊後に単行本化されたという事実からも、それなりに漫画として評価出来る内容であったことは立証されていると言えよう。