松沢夏樹『突撃!パッパラ隊』

突撃!パッパラ隊 (12) (IDコミックス REXコミックス)

突撃!パッパラ隊 (12) (IDコミックス REXコミックス)

連載:『月刊少年ガンガン』(1991-2000年)
単行本:エニックス・ガンガンコミックス(1992-2000年) 全18巻
    一迅社REX Comics(2008年-) 現在12巻まで刊行中


 『月刊少年ガンガン』の創刊号から9年間にわたって連載され、1998年にはアニメ化も果たしたギャグ漫画。作者の松沢夏樹は本作品がデビュー作であり、その後は『魔女っ子戦隊パステリオン』や『華の神剣組』などを同系列誌で描いた後、現在は一迅社の『Comic REX』にて本作品の続編にあたる『逆襲!パッパラ隊』を連載中。
 不死身の身体を持つ最強の軍人・水島が、「パッパラ隊」という名の特殊部隊に配属され、ひたすらハイテンションな女性軍人ランコと、変幻自在の身体を持つ謎の忍者とびかげの二人を中心とする、変人揃いの隊員達の織り成す不条理な日常に翻弄される、という物語。当初は軍隊内部でのドタバタ劇が中心であったが、途中からは「シュヴァルツラント帝国」や「恐怖の軍団」などの敵勢力を交えた、世界規模での多種多様な変人達による果てしないギャグ合戦が展開されることになる。
 そして本作品の第90話(第12巻収録)において、とびかけの力で過去の世界(ランコの中学生時代)に旅立った水島が、ランコと同じ学園の高等部の女子テニス部主将の「お腸夫人」とテニス(?)で対決するという場面が描かれる。しかし、おそらくこの話を覚えている人は、本作品の読者の中でも少ないであろう。本作品は彼女のような「一発ネタ」的なキャラが多く登場する上に、この「ランコの過去」のエピソードの中でもあまり重要な場面ではないため、今一つ印象に残らないのである。
 ただ、「お腸夫人」という名がただのダジャレだけに終わらず、対決後の展開で初めてその名の意味が分かるという展開は結構好き。個人的には、せっかくヒロインが「ランコ」なのだから、どうせならお蘭に引っ掛けたネタにしてくれたら面白かったのに、とも思うのだが、読者層の年齢を考慮するとさすがに無理があるか。
 本作品は一般に初期〜中期が傑作とされ、後半に進めば進むほどギャグが劣化していったと言われるが、個人的にはこの頃は「まだギリギリ『面白かった』と言える時期」だと思う。でも、やっぱり最初期の頃が一番面白かったし、絵柄も1巻の頃の方が好きだった。まぁ、今の『逆襲!』も、それなりに楽しんでるけどね。