夕凪薫『ラブスマ』

ラブスマ 1巻―LOVELY・SMASH (ヤングキングコミックス)

ラブスマ 1巻―LOVELY・SMASH (ヤングキングコミックス)

連載:『月刊ヤングキング』(2006-2009年)
単行本:少年画報社ヤングキングコミックス(2007-2009年) 全3巻


 アニメ化&ゲーム化も果たした人気作品『気になるルームメイト』などで有名な夕凪薫が『月刊ヤングキング』で描いた作品。タイトルの意味は「LOVELY SMASH」の略らしいが、表記上の正式名称はあくまで『ラブスマ』。ちなみに、同人界での作者のPNは「朝凪葵」。
 主人公は、チビでバカで女好きの少年・平賀秀(しゅう)。同い年の幼馴染みで、大柄&豊満な身体の少女・藤堂礼(あや)と共に、華山学園高校に入学するところから物語は始まる。礼は秀に対して激しい依存症的な恋愛感情を抱いており、秀はそれを表面上は鬱陶しく思いながらも、無自覚のままに彼もまた礼に心を縛られている。そんな二人はテニス部の支倉山桜(はせくら・ゆすら)の淫謀によって同部に入部することになり、様々な女子生徒達に翻弄されながら、青春ラブコメを満喫することになる。
 上記の通り、基本的には『月とスッポン』とほぼ同じコンセプトの作品である(『かぼちゃワイン』にも似ているが、幼馴染みという点では新一&世界の方が近い)。ただ、しっかり者の世界とは対照的に、礼はひたすら幼稚な完成の天然ボケ娘であり、むしろ秀の方がツッコミ役的な立場に回ることも多い。
 青年誌向けであるが故にお色気中心であるが、本番行為に至るような描写は無く、実質的には月刊少年誌レベルの「ライトなエロコメ」である。故に、青年誌のエロとしてはやや中途半端ではあるが、肉感的な身体や赤面する表情の描き方などは、さすがに上手い。
 テニス描写に関しては、さすがにタイトルに入っているだけのことはあって、基本的にはテニス部を軸とした物語が展開されているのだが、試合が描かれるようになるのは後半のみで、しかも大半が1〜2頁で終わってしまう。一つ一つの動作はそれなりにきっちり描けているものの、「テニス漫画」と呼べるほどの濃密さは無い。
 絵柄は黒目が大きい独特の画風で、正直、あまり私の好みではない。でもまぁ、支倉先輩は個人的に結構好きだし、他の女の子達もそこそこいい萌えツボをついてくれてはいる。まぁ、この辺は好みの問題なので、一般論としての評価は難しいんだけどね。