厦門潤『流星機ガクセイバー』

流星機ガクセイバー 1 (バンブー・コミックス)

流星機ガクセイバー 1 (バンブー・コミックス)

連載:『コミックガンマ』(1992〜1995年)
単行本:竹書房バンブーコミックス(1993〜1994年) 全2巻


 元来はラジオドラマを中心とするメディアミックス企画として出発した物語(後に、小説とOVAも発売)。コミック版は、『破妖の剣』などで有名な厦門潤(あもい・じゅん)が担当し、『コミックガンマ』の創刊号から連載されたが、途中で休載となり、再開されぬまま雑誌が休刊してしまったため、連載末期の話は単行本未収録のまま未完状態。昨今の作者は「陸乃家鴨(おかの・あひる)」の名で18禁作品などを発表している。
 10年前に富士山近辺に落下した謎の隕石を研究することを目的に設置された「国際アカデミア学園」に通う8人の高校生達を主人公とした物語。同学園の教師・羽柴当吉の「単位をやろう」という言葉につられて、隕石の中から発見された謎の機械に乗せられた8人は、それが実は宇宙からの侵略者と戦うための巨大ロボットであることを知らされ、そのまま成り行きで地球の未来を賭けた決戦へと駆り出されることになる。
 8人の高校生達は男女4名ずつで、学年も所属クラブもバラバラなのだが、その中の一人でテニス部員のスーザン・ウォーカーという二年生の女生徒(CV:玉川紗己子)が登場する。彼女の所属するテニス部は、それなりに実績のあるクラブらしいが、残念ながら本編中ではテニス部の場面は登場しないので、テニス漫画として評価出来る要素は無い。
 にも関わらず、なぜ取り上げたのかというと、私のこの作品に対する思い入れが非常に強いからである。当時は「人気声優を揃えたラジオドラマ」自体が新鮮で、その後のアニラジ大増殖の呼び水となった作品の筈なのだが、残念ながら現在のweb上で本作品について語る人は殆どいない。まぁ、確かに物語としては中途半端なところで終わってしまっているし、当時の声優ファン以外には、本作品の魅力は伝わりにくいかもしれない。ただ、それでもせめて名前くらいは知っておいて欲しい、というのが、この作品に魅せられた世代のオタクの一人としての率直な気持ちなのである(既にレビューじゃないな、今回)。
 ちなみに、メディアごとに主人公達の恋愛相手が違うという希有な設定の作品であり、漫画版は終盤で「まさかの大どんでん返し」が起こるのだが、残念ながらその話は単行本に収録されていない。なんとか雑誌掲載分をまとめた完全版を出して欲しいんだがなぁ。