「この漫画が凄いから読め」2010年版

 ということで、ようやく今年も「こすヨメ」の募集が正式に始まったので、私も早速、「今年発売された単行本作品」の中で「凄かったから読ませたい漫画」のベスト5を発表したいと思います。


5位:施耐庵/バラエティ・アートワークス『まんがで読破 水滸伝

水滸伝 (まんがで読破)

水滸伝 (まんがで読破)

 「名作文学の漫画化」というコンセプトで出されたシリーズの一つなのだが、この内容が凄すぎる。三国志でたとえるなら、公孫賛がラスボスになるかのような斜め上すぎる超展開に、ただひたすら呆然。ある意味、『AKABOSHI』や『月の蛇』よりも凄まじい原作改編で、とてもではないが水滸伝初心者には読ませられない話なのだが、水滸伝ファンにはぜひ一度は読んで欲しい怪作中の怪作。


4位:三島衛里子高校球児ザワさん

高校球児 ザワさん 2 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

高校球児 ザワさん 2 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

 スポーツ漫画を専門的にレビューする身としては、まさにパラダイム転換&ゲシュタルト崩壊を引き起こされた作品。一応、公的には「フェチ漫画」らしいのだが、ある意味で最も純粋な「部活漫画」「青春漫画」だと私は思う。最も純粋にエロい目で異性を見ることが出来た高校時代の感性を呼び起こされる小ネタが続く中で、不意に第26話(第2巻)のような話が挿入される辺り、実はかなり懐の深い作品なのではないかと。


3位:青山広美山根和俊ギャンブルフィッシュ

GAMBLE FISH 10 (少年チャンピオン・コミックス)

GAMBLE FISH 10 (少年チャンピオン・コミックス)

 去年のVF編の迷走は何だったのか? と言いたくなるくらい、マカオ編突入後の今年の話は神掛かっている。青山トリックと山根エロスが本来の輝きを取り戻し、まさに「エクストリームにも程がある」と言いたくなるような大暴走の連発。今の週刊少年誌の中で私が最も「早く次週が読みたい」と思うのは、間違いなくこの作品。まぁ、今年の躍進の最大の功績は、何と言ってもカイザーの覚醒だけどね、やっぱり。


2位:長谷川哲也『ナポレオン 獅子の時代

ナポレオン 11―獅子の時代 (ヤングキングコミックス)

ナポレオン 11―獅子の時代 (ヤングキングコミックス)

 遂に宿敵・ネルソンが登場し、いよいよ物語もヒートアップ。まぁ、私の中では、むしろ陰湿元帥ベルナドットの方がより重要なんだけどね(本業的な意味で)。スタール夫人の陰謀、オージュローとカルノーの一騎打ち、ポリーヌ&ジョゼフィーヌの堕落化など、とにかく11巻は見所満載(ダヴーの外伝も秀逸)。今年から始めた某大学の「外国史各論」の講義でも、参考文献として紹介させてもらいましたよ。


1位:勝木光ベイビーステップ

ベイビーステップ(10) (講談社コミックス)

ベイビーステップ(10) (講談社コミックス)

 去年は、最後まで「入れるべきか否か」で迷い続けた結果、「この漫画はもっと面白くなれる筈」と信じて選出を避けた。そして今年、見事にその期待に応えてくれた。格上の選手達を相手に、惜敗&惨敗を繰り返しながらも着実に成長していくエーちゃんの姿は、まさにこの作品自体の成長そのもの。ひたすら戦術論だけでテニスを描く異色の作風がどこまで通用するか、テニス漫画レビューの管理人として最後まで見届けたい。


 とりあえず、去年挙げた作品群に関しては「殿堂入り」扱いということにしました(そうしないと、毎年マップスが1位になってしまうし)。あと、「テニスを物語の主軸に据えた漫画」は一本だけに絞りたい(=テニス漫画間で優劣をつけたくない)という方針から、『新テニスの王子様』と『そふてにっ』も除外して、来年以降に回すことに。
 個人的には、少女漫画を一本も入れられなかったのが心残りなんですが、今年は『風光る』くらいしか読んでないんですよねぇ。あとは「単行本化されたら、絶対にランクインさせる」と意気込んで応援していた『号外!!新選組カズエ』が打ち切られてしまったことが、今年の最大の無念(『水滸伝』はある意味、その代役ということで)。
 そんな訳で、上記が私の「凄いから読ませたい漫画ランキング2010」でした。「おいおい、ちょっと待て。アレとかコレとか、もっと他に選ぶべき作品があるだろう!」と思った方は、ぜひ御自身のブログの方でランキングを作って、こちらで参加申請した上で、こちらトラックバックを送って下さいな。