片山まさゆき『ぎゅわんぶらあ自己中心派』

連載:『週刊ヤングマガジン』(1982〜1986年)
単行本:講談社ヤンマガKC(1982〜1986年) 全7巻
    講談社ヤンマガKCスペシャル(1987〜1989) 全8巻
    講談社漫画文庫(1997年) 全5巻
    講談社プラチナコミックス(2004年) 全8巻


 麻雀ギャグ漫画の第一人者である片山まさゆき出世作ヤングマガジンにて連載され、その後、様々なハードでゲーム版も発売されるなど(作者のもう一つの代表作『スーパーヅガン』と共に)麻雀ギャグ漫画の代名詞的存在となった。近年の作者は『近代麻雀』にて『打姫オバカミーコ』を描いている。
 物語は、驚異的な強運の持ち主である雀士・持杉ドラ夫が、毎回様々なゲスト&セミレギュラーキャラ達と麻雀で対決する、という物語。ただし、稀にドラ夫が卓に参加しない回もあり、以下で紹介する第8話「ウィンブルドン大会」(第1巻収録)も、そんなエピソードの一つである。
 この回では、東京の「麻雀ウィンブルドン」という雀荘にて、ジョン・マッケンロー、ビヨン・ボルグ、ヴィンセント・ヴァン・パタンクリス・エバート・ロイドの4人が麻雀で勝負する話が描かれる。ドラ夫はその雀荘で店員として働いており、また解説役として、某プロをモデルにした神和自模中(かみわづも・ちゅん)という人物も登場する。
 正直、彼等の顔自体は(髪型によって識別は可能なのだが)あまり本人に似ているとは言い難いのだが、ボルグのトップスピンやマッケンローのバックハンドスライスなど、それぞれのテニス選手の特徴を生かした得意技(?)が登場する辺りは、ちょっと面白い。また、マッケンローがちゃんと左手で自模していたり、ブチ切れて卓上で横になるなど、パロディとしてなかなか芸が細かい。
 一方で、この中にヴァン・パタンという明らかに格下の選手が混ざっていることに当初は違和感を感じるが、実はちゃんとそれにも意味がある。正直、あまりにもくだらない駄洒落ネタなのだが、それはそれでまた不思議と笑えてしまう。
 このエピソードの中で登場する技法は、どれも戦略的に全く意味のない技ばかりで、麻雀漫画として楽しめる要素は極めて少ない回なのだが、テニス・パロディ漫画としては非常に面白い(少なくとも、麻雀を知らなくても楽しめるレベル)。最近は肖像権の関係が厳しくなったせいか、この手のネタを漫画で読める機会が減ってしまったのが、淋しい限りである。