山田薫「パートナーはいじっぱり」

初出:『コミック5』(『小学五年生』別冊付録)(1978年)
単行本:未発売


 『小学五年生』の1978年10月号のA6サイズの別冊付録『コミック5』に掲載された作品。作者の山田薫は同誌の他に『別冊小女コミック』などでも作品を発表していたらしいが、単行本は未発売。なお、この号の『コミック5』には他に、島崎ちと「あいつは豪速球」、宮のぶなお「トックン!水泳部」、村生ミオ「ぼくが勝つんだ!」、室山まゆみ「不滅のバレー部」、ふくい完至「運動会あらしダン」が同時収録されている。
 主人公は、小学五年生の芦田亜美。彼女が転校先の学校でテニス部に入るところから物語は始まる。そのテニス部では、無敗記録を持つ主将の勇(いさむ)が様々な形で特別扱いを受けており、そのことに納得出来なかった亜美は、彼に試合を申し込むことになる。
 『小学○年生』には「男の子向け」と「女の子向け」の漫画が併存しているが、本作品は絵柄的には後者に分類される。亜美は「そばかす+黒巻髪ポニーテールwithリボン」という、現代の少女漫画ではまず見ることの出来ない風貌であり、それだけでも時代を感じさせる要素ではあるが、内容的には現代にも通じる部活友情モノであり、非常に読みやすい。
 ちなみに、亜美と勇の間では恋愛に発展し得る要素は全く描かれず、「女のくせに……」といった台詞もなく、普通に一人の仲間・ライバルとして相手を見ている点が、個人的には好印象。こういう点が、男女が対等に戦える小学生の部活動を題材にした作品ならではの面白さだと思う。
 A6版の漫画なので、1頁あたり4〜6コマ程度で物語が描かれるが、これはこれで慣れればそれほど読みにくくはない。というか、私の世代くらいまでは、これくらいの「別冊付録」がよく『小学○年生』にはついてきたものだが、今でも低学年向けの雑誌には付いているのだろうか? まぁ、そもそも『小学五年生』自体が、去年で無くなってしまったのだけどね……。