小林徹郎『藤校女子テニス部』

初出:『まんがタイムきららMAX』(2009年)
単行本:未発売


 「さばのにわとり」名義で茜新社などの18禁雑誌でも活躍する小林徹郎が、『まんがタイムきららMAX』の2009年10月号にて描いた6頁の四コマ漫画作者のホームページでは、本編の原型(作品内の時系列的には続編?)である「ふじこーてにす部」や「出来損ないド素人」などのテニス漫画(非四コマ)も読める。現在の作者は同誌にて「SUNNY SIDE UP.」を連載中。
 物語は、藤子女子テニス部の三年生が引退したことで、みさと雫という二人の一年生部員だけが部活に残される状態へと陥るところから始まる。その後、二年生となった二人は新入部員確保に奔走するが、正攻法では全く部員が集まらず、最終的にはかなり強引な手段で、(団体戦出場に必要な人数として?)2人の新入部員を獲得しようと試みることになる。
 近年流行の萌え系四コマ誌にゲスト読切として描かれた作品であり、前身の「ふじこーてにす部」では試合の場面も描いていたにも関わらず、こちらではラケットもボールも一度も出てこないまま、あくまで新入生勧誘の話に特化して描いている辺りは、雑誌のカラーに作風を合わせた努力が伺える。
 ただ、個人的な印象としては、この人は四コマよりも通常形式の漫画の方が上手いと思うし、絵的にも(個人的には「ふじこーてにす部」の頃の画風の方が好きだったので)色々と無理しているように思えてならない。キャラは悪くないだけに、本来通常形式で描かれていた彼女等を強引に「四コマ」の枠の中に押し込めたことに、どうにも違和感を感じてしまうのである。
 調べてみたところ、どうやら「ふじこーてにす部」よりも更に前に、ほぼ同じコンセプトの(?)「よろしく!じょテニ同好会」という作品を「第2回少年ライバルコミック大賞」に応募した経緯があるらしく、その意味でも作者にとって思い入れの深い作品のようなので、いずれどこかで、より完成度の高い形で連載作品として描いてくれることを期待したい。