にざかな『4ジゲン』

4ジゲン 1 (花とゆめCOMICS)

4ジゲン 1 (花とゆめCOMICS)

連載:『LaLa』(2005〜2010年)
単行本:白泉社花とゆめコミックススペシャル(2006〜2010年)


 『B.B.JOKER』で有名なにざかな(原作担当:にざ、作画担当:かな)が、同作品終了後のコンビ解消→再結成を経て『LaLa』にて描いたオムニバス形式のギャグ漫画。にざは「一條マサヒデ」、かなは「まさや佳乃」という名で、それぞれ別作品でも活動中(前者は漫画家の春輝と組んで「タマちく.」の名で『殺し屋さん』という作品も発表している)。
 物語の舞台は、老若男女多種多様な生徒達が通う定時制の青葉高校。明確な主人公は存在せず、毎回様々な教師&生徒達が登場し、それぞれが淡々とシュールなギャグを(概ね1頁単位で)展開していくのだが、その中の一人で「委員長」と呼ばれる黒髪ロング&眼鏡の女生徒・明智律子が、「〜 of 委員長」というタイトルのシリーズで何度か登場する。
 律子は常に様々な質問に対して「少しでも分かりやすく伝えよう」と努力するものの、いつも誤解を招く表現を選んでしまう。そんな彼女の最初の初登場エピソードである「玉 of 委員長」(第1巻31頁)では、「テニス」という競技を(外来語を使わず)日本語で説明しようとして、その場にいるクラスメート達をドン引きさせてしまう話が描かれる。
 正直、テニスを説明する上で、ここまでヒドい(しかし的確な)表現があるという事実には、長年テニスに関するギャグを紹介し続けてきた私ですらも度肝を抜かれた。この「委員長シリーズ」を初めとして、彼女と同様に言動が全て誤解を招いてしまう校長や、おそらくは意図的に誤解を招く表現を使って生徒達を混乱させる担任教師・柏木のシリーズなど「言葉のアヤ」を利用した名作ギャグが多い。
 系統としては、新井理恵の毒を薄めて読みやすくした作品、といった印象。だが、決して『×』や『日常茶飯事』の劣化コピーではなく、むしろ本作品の方が一つ一つのネタの組み立て方がエレガントで、ギャグ漫画としての完成度は高いと思う。まぁ、好き嫌いは分かれるだろうけどね。