漫画界における頻出度と競技人口

 これまで、日本の漫画史において数多くのスポーツ漫画が描かれてきた訳ですが、その中でも「よく描かれる競技」と「滅多に(一度も?)描かれない競技」があると思います。
 おそらく、一番多く描かれているのは野球でしょう。その次は、多分、サッカーだと思います。その次に来るのが、バスケ、バレー、テニスあたりでしょうか。この辺は実際の競技人口ともある程度比例しているのではないでしょうか。
 一方で、競技人口が多そうなのに、漫画として描かれることが少ないのが、陸上と水泳だと思います。おそらく、レース系は漫画として描いた時に、絵的に描ける構図のバリエーションが限られるため、演出的に盛り上げるのが難しいのでしょうね。
 逆に、競技人口の割に漫画化された例が多いのが、ボクシングを初めとする格闘技系ではないかと。実際に高校でボクシング部などがある学校は少ないと思う訳ですが、バトル漫画の技法が使えるという意味では、漫画としては扱いやすいのだと思います。
 その意味で、今回紹介した『バンブーブレード』に代表される剣道漫画は、本格的な競技人口があまり多くはなく、なおかつ漫画でも扱われることが意外に少ないという、なかなか不遇な競技だと思います。バンブレでも多用されている「5対5対抗戦」の形式は、(テニプリ同様)非常に漫画向きの競技構造だと思うのですが、やっぱり「面」のせいで顔の演出が難しいのが、敬遠される理由なんですかね。