伯林『しゅーまっは』

しゅーまっは 5 (少年チャンピオン・コミックス)

しゅーまっは 5 (少年チャンピオン・コミックス)

連載:週刊少年チャンピオン(2001〜2002年)
単行本:秋田書店チャンピオンコミックス 全7巻(2001〜2003年)


 近年は『月刊少年シリウス』や『ヤングチャンピオン烈』などで活躍する伯林(はくばやし)が『週刊少年チャンピオン』にて描いた代表作。
 物語は、中学一年生の小林彩が、両親の仕事の事情で「おじいちゃん(本名不明)」の家に引っ越してくる場面から始まる。「おじいちゃん」は見た目は温厚な紳士だが、その正体は周囲の人々(特に彩)を困らせることを無上の喜びとするマッドサイエンティストであり、毎回、謎の人造生命体「しゅーまっは」を生み出して、様々なトラブルを引き起こすことになる。
 「しゅーまっは」の形態は、人間型、動物型、無機物型など多種多様であるが、その大半は不気味なおぞましい姿であり、諸々の経緯の末にその殆どが1話のみで不条理に惨殺されていく。ただし、途中からは少女型しゅーまっはも登場し、彼女達は例外的に生き残ってレギュラー化することになる。
 この手のギャグ漫画はテンポが命だと思うのだが、その点では本作品の軽快なリズムは絶品であり、ひたすら外道な愉快犯である「おじいちゃん」の悪行と、必死でそれを止めようとする彩の激しいツッコミの絡み合いが実に小気味良く、そこに解剖マニアの令嬢・藤宮涼子、ヌンチャク使いの巫女・石川汀などが加わり、程良くハイテンションなドタバタ劇が展開される。
 そんなサブキャラ達の一人に、彩の級友の川村ちさというテニス部少女が登場する。彼女はいわゆる天然キャラで、奇妙な生物の気配を感じると我を忘れてその気配に惹き付けられる性質であるが故に、しゅーまっはの事件に頻繁に絡むことになる。ただ、テニス部設定に関しては第5巻の第70話で一度登場したのみで、物語的にはそれほど意味のある設定ではない。
 硬派色の強いチャンピオンに萌え路線を導入した作品の一つとして知られているが、ひたすらグロい生命体が次々と生み出されては殺されていく展開は、むしろ同誌の不条理ギャグ漫画の系譜の後継者と言えるかもしれない。