水沢めぐみ『姫ちゃんのリボン』

姫ちゃんのリボン (3) (りぼんマスコットコミックス)

姫ちゃんのリボン (3) (りぼんマスコットコミックス)

連載:『りぼん』(1990〜1994年)
単行本:集英社りぼんマスコットコミックス(1990〜1994年) 全10巻
    集英社文庫コミック版(2003年) 全6巻


 『ポニーテール白書』『空色のメロディ』『チャイム』などでも有名な水沢めぐみの最大のヒット作。90年代前半の『りぼん』で連載され、アニメ化・小説化・ミュージカル化を果たし、近年では『姫ちゃんのリボン カラフル』の名でリメイク版も作成された(作画・込由野しほ)。
 主人公は、中学一年生の野々原姫子。明るく活発なお転婆少女の彼女が、自分とそっくりの魔法の国の王女・エリカと出会う場面から物語は始まる。彼女の「人間界の観察日記」に付き合う代わりに「誰にでも変身出来るリボン」を受け取るのだが、そのリボンの秘密を誰かに伝えることは固く禁じられており、その秘密を巡って様々な事件が引き起こされることになる。
 基本的に姫子は世話焼きで、友達の恋路の手助けやトラブルの解決のためによく魔法を使おうとするのだが、大抵の場合、それは裏目に出て、余計に事態が混乱することが多い。しかし、それでも最後はなぜかいつも円満な形で解決することになる。それはご都合主義と言ってしまえばそれまでなのだが、低学年向けの少女漫画くらい、そんな「救い」があってもいいだろう。
 そして、単行本の3巻では姫子と同学年の(実質的な相手役となる)小林大地が、8巻では魔法の国から来た少年・有坂静(ありさか・せい)が、それぞれテニスに興じる場面が描かれる。いずれも僅か数頁の短い描写ではあるが、本編における重要なポジションを担う二人の美男子が、テニスを通じてそれぞれ対照的に描かれているという意味では、面白い演出だと思う。
 ちなみに、この大地がテニスをする話は、アニメ版では第13話に相当するのだが、実はこの回はあの伝説の「SMAP登場回」でもあり、若き日の剛の演技が楽しめる(彼はそれ以前に「支倉先輩」役でも出演)。原作では「西川ミナト」という架空のアイドルだったのだが、アニメ化に際して実在のアイドルとコラボしてしまう辺りが、いかにも少女漫画的であると言えよう。