村生ミオ『ラブアタック5対1』
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単行本:講談社マガジンコミックス(1983〜1985年) 全4巻
『胸騒ぎの放課後』『微熱My Love』『サークルゲーム』などのセクシー・ラブコメ作品(いずれも実写映画化)で有名な村生ミオが『月刊少年マガジン』にて連載した作品。作者は現在は『Xenos』を『ヤングチャンピオン』にて連載中であり、2007年1月にはドラマ化も果した。ちなみに、師匠は『翔んだカップル』や『特命係長只野仁』などの作者である柳沢きみお。
主人公は、中高一貫(+大学)の私立中学に通う二年生の五十嵐浩之(通称:ヒロ)。彼が二年生の最初の登校日に、同じクラスの白都瀬里奈(しらと・せりな)と出会うところから物語は始まる。瀬里奈の容貌に惹かれた彼は、諸々のトラブルの後に彼女と恋人関係になるのだが、実は瀬里奈は五つ子姉妹の三女であり、彼女と全く同じ風貌を持つ四人の姉妹(長女・秋奈、次女・安奈、四女・美奈、五女・奈々)が瀬里奈と同様にヒロに積極的にアプローチしていくことで、様々なドタバタ劇が展開されることになる。
一言で総評するなら、いわゆる典型的な「月刊誌のちょいエロ漫画」である。物語の軸は、ヒロが五人そろって彼に迫ってくる姉妹の中からいかに瀬里奈を見つけ出すか、という点にあり、なりゆき上、姉妹達が服を脱いだり、ヒロに身体を触らせたりすることになる。それが本作品の本質であり、その前後の物語自体には大して意味もなく、あまりにも突拍子もない展開に対して一々ツッコミを入れるのも野暮に感じられてしまう、そんな作品である。
そして、実はヒロと瀬里奈はいずれもテニス部に所属しているのだが(それが本レビューで取り上げた理由なのだが)、そのことが本編で描写されるのは「スリリングな学園祭の巻」(第二巻収録)と、「テニス合宿でドキドキの巻」(第四巻収録)の二話のみであり、彼等がラケットを振っている場面は第四巻の31頁のみである。その意味で、まさに本作品の中では「どうでもいい設定」に過ぎない。
従って、テニス漫画としては何の価値もないが、80年代的な「あざといエロ」をあえて楽しめる感性の持ち主であれば、一度くらいは読んでみるのも良かろう。