みやすのんき『ゴルフ19(ナインティーン)』

ゴルフ19 1 (ヤングジャンプコミックス)

ゴルフ19 1 (ヤングジャンプコミックス)

連載:『週刊ヤングジャンプ』(1997〜1998年)
単行本:集英社ヤングジャンプコミックス(1997〜1998年) 全3巻


 1980年代に、『やるっきゃ騎士(ナイト)』(月刊少年ジャンプ)や『冒険してもいい頃』(ビッグコミックスピリッツ)などの「ちょいエロ漫画」で一世を風靡したみやすのんきが、『ヤングジャンプ』誌上で描いたゴルフ漫画。現在の作者は同誌にて『桃香クリニックへようこそ』を連載中。
 19歳にしてウィンブルドンを制覇した天才女子テニス選手・桜園(さくらぞの)ミチルが、飛行機事故でテニス選手としての可能性を断たれた後、様々な紆余曲折を経て、ゴルフ選手に転向するという物語。しかし、彼女に与えられた活躍の舞台は、裏社会における非公式大会「SGG(スーパーギャンブルゴルフ)」と呼ばれる大会であり、しかも彼女がその大会で敗れた時にはポルノビデオに出演しなければならない、という過酷な条件で戦わされることになる。
 ゴルフ出身のテニス選手と言えば、アニメ版の柳生比呂士などが挙げられるが、逆パターンは結構珍しい。というのも、実際問題として通常のテニスのスウィングとゴルフのスウィングでは角度が全く異なるので、あまりその技術が役に立つとは考えにくいのである(逆の場合は、ライジングショットなどでゴルフの技術が生かせる場合もあるが)。実際、この漫画の中でその設定が生かされているかというと少々微妙であり、テニスをプレイしている場面も冒頭で若干描かれる程度である。その意味で、ゴルフと並ぶ「華やかな女子スポーツ」の一つとしてテニスを選んだにすぎない、と考えるのが妥当であろう。
 作品全体の評価としては、みやすのんきにしてはエロシーンが少ないので、本来の彼の持ち味が出ているとは言い難い。とはいえ、ゴルフ漫画としては、プロゴルファー猿並のトンデモ設定がなかなか面白く、それなりに楽しめる内容ではある。ただ、ラストが「この展開で『大団円』はないだろう(せめて誰か一人くらい、彼の犠牲を悲しんでやれよ……)」と思わされる内容だったので、ちょっとその点がマイナス要因かな。