樹原ちさと『こらこらキララ!』

こらこらキララ! (りぼんマスコットコミックス)

こらこらキララ! (りぼんマスコットコミックス)

連載:『りぼん』(1987年)
単行本:りぼんマスコットコミックス(1988年) 全1巻


 前述の『恋は100kg』の作者であり、80年代の『りぼん』において『かん忍!!茜』『桃色ミステリー』などの作品を残した樹原ちさとが、1987年に同誌で4ヶ月にわたって短期連載した作品。
 主人公は、お嬢様学校である乙女学園高校のオーロラ寮に住んでいる一年生の早川きらら。日頃は「グズでのろまな問題児」である筈の彼女が、ふとしたことから、実はある「特殊な才能」の持ち主でることに気付くところから物語は始まる。基本的には、彼女と、上級生で風紀委員の江戸紫貴子、そして物語途中から登場する新任教師・野田薫の三名を軸にストーリーは展開し、きららの祖父の残した遺産を巡る因縁の戦いがコミカルに描かれている。
 『恋は100kg』の時にも書いた通り、この人は実に独特のコメディ・センスの持ち主であり、本作品においても全編通じて「どこか妙なノリ」で物語が進んでいく。それを象徴しているのが、オーロラ寮の番犬である大河原BON(通称:ボンさん)というビーグル犬(?)の存在である。犬でありながら、人語を理解し、金品を好み、人を陥れることを楽しむ彼(?)は、一見するとただの場繋ぎ的なギャグ担当のようだが、実は最終的には物語の根幹に深く関わることになる。ある意味で、彼こそが本作品のエッセンスを体現しているキャラと言えるかもしれない。
 ちなみに、江戸紫貴子は4才の頃からテニスを学んでいたという設定であり、本編中でもきららとテニスで対決する場面があるのだが(それ故に、本レビューで取り扱っているのだが)、正直、物語全体の中での位置付けとしては、(一応、必然性のある展開ではあるものの)あまり重要な場面ではない。あくまでも彼女の「お嬢様っぽさ」を表現するための一要素と位置付けるのが適切であろう。
 今となっては、あまり普通に出回っている本ではないので、探すのにやや苦戦するかもしれないが、女子校モノならではの「ほのぼのボケ倒しコメディ」が好きな人なら、ぜひ購入してみることをお勧めしたい。