明野みる「ゆれゆれラブマッチ」(『ジャングルおねえちゃん』収録)

ジャングルおねえちゃん (ちゃおフラワーコミックス)

ジャングルおねえちゃん (ちゃおフラワーコミックス)

初出:『ちゃお』(2007年)
単行本:小学館ちゃおコミックス『ジャングルおねえちゃん』(2008年)


 2004年に「ぜんまい少女とねじまき少年」でデビューした『ちゃお』の期待の新星・明野みるが2007年に描いた短編作品。単行本としては『ジャングルおねえちゃん』に収録(同時収録は他に「ハッピーおばあちゃん〜呪われた岩〜」と「Dr.ななこ研究所」1話&2話)。
 主人公は、高校一年生の鳥居あみ。校内でプレイしているテニス部員達の姿を見て、テニス部に入ろうと決意するのだが、なぜか彼女の友達はそのテニス部の存在を知らず、そして彼女が入部希望の旨をテニス部員に伝えるとすると、妙に驚いた反応をされる。それもその筈、実はそのテニス部は学校から存在を認知されていない特殊な生徒達の集団だったのである…………、という物語。
 正直、この漫画の面白さの何割かは「出オチ」なので、これ以上の細かい内容は書けない(とりあえず、タイトルがヒントになっている、とだけは述べておこう)。ただ、作者自身が「テニス漫画なのにテニスしてません」と述べているように、この漫画の魅力がテニスではなく、あくまでもラブコメとして描かれていることは確かである。
 絵柄的には、かなりデフォルメの激しい今風の絵だが、表情の描き分けが上手く、また物語全体のテンポが良いせいか、私のような古い世代の人間でも、あまり違和感無く作品世界に入り込める。まぁ、本筋の結末は序盤ですぐに予想がついてしまう「分かりやすい展開」なのだが、その後のもう一つのオチが面白かったので、個人的には結構お気に入りである(ちなみに、実際に作者の夢の中で出てきた話をそのまま用いたそうな)。
 ちなみに、作者のコメントによると、この物語に登場するテニス部員の「ななみ」というキャラの人気が高かったそうだが、なんとなく私もそれは理解出来る。彼女のようなストレートな性格の女性って、女性読者にとっても受け入れやすいんじゃないかな。かくいう私も、144頁の彼女なんかは、素直に可愛いと思ってしまうタチだしね。