桜場コハル「今日のテニス部」(『今日の5の2』収録)

今日の5の2 (ヤンマガKCスペシャル)

今日の5の2 (ヤンマガKCスペシャル)

初出:『ヤングマガジン増刊スポ僧』(2003年)
単行本:講談社ヤンマガKC『今日の5の2』(2003年)


 ヤングマガジンにて『みなみけ』を連載中の桜場コハルが描いた8頁の短編作品。デビュー作である『今日の5の2』の巻末に収録されており、同作品の本編に対する「補習の時間」という扱いになってはいるが、内容的には一切接点が無く、独立した作品として扱う方が自然であると判断した。なお、『今日の5の2』は2006年にOVA化し、今秋からは(『みなみけ』と同じ枠で)TVアニメ化されることも決定した。
 舞台は不明(どこかの中学or高校のテニス部と推測される)。登場人物は、一年生のクミ(姓不明)と、先輩の松永(♀)&渡辺(♂)の三名。テニスの基本的なルールに疑問を抱いたクミと松永のやり取りを中心に物語は展開されるのだが、さすがに8頁のみの内容なので、詳細はネタバレになってしまうため、割愛。
 現在、ネット上などで人気急上昇中の同氏の作品であるが、一読した印象としては、あまり普遍的に受け入れられる作風とは言えないように思える。クミが提示する「疑問」は、テニスに触れた時に誰もが疑問に思う点であり、それに関するネタ自体は面白いのだが、見せ方に独特の癖(というか「間」)があり、どこがヤマでどこがオチだったのかが分かりにくい。もっとも、これは漫画を読む時の「リズム」の問題であり、このテンポに合った読み方が出来る人々にとっては、きっとツボにハマるコマ割りなのであろう。
 まぁ、作者自身が露骨に「キャラ萌え」を前面に押し出した作風なので(そのことは、『今日の5の2』のキャラ紹介からも読み取れる)、あくまで「この人の絵が好みの人」だけにお勧め出来る朔品、と言って良いだろう。その意味で、基本的に小学生には萌えを感じられない小生にとっては、どちらかというとこの「今日のテニス部」の方が、表題作よりも魅力は感じられたことは事実である。あ、ちなみに、テニス描写は(この頁数と作風では当然のことであるが)皆無なので、その点に関しては一切期待しないように。