神和住純(監修)/小池一夫&スタジオシップ(企画・構成)/やまさき拓味(作画)『スポーツ・コミック・ガイド2 テニス入門編・1』

テニス〈入門編 1〉 (スポーツ・コミック・ガイド)

テニス〈入門編 1〉 (スポーツ・コミック・ガイド)

単行本:角川書店スポーツコミックガイド(1987年)


 「コミックと写真で見るスポーツ入門書」というコンセプトで角川書店から発売された12冊シリーズの中の第2巻。元プロテニス選手の神和住純(かみわずみ・じゅん)の監修の下で、『子連れ狼』や『クライングフリーマン』などの原作で有名な小池一夫率いるスタジオ・シップの手で制作された。作画を担当したやまさき拓味(ひろみ)は、後にヒット作『優駿の門』シリーズを生み出すことになる。
 主人公は、テニス初心者の甘利純子。まず第一話では、彼女の元に元テニス選手の神和住純が現れ、実在のテニス選手達を写真付きで紹介する。そして第二話以降では、テニス経験者の別式貴子との試合に向けて、純子が山田龍彦コーチの下で、テニスを基礎から学んでいくことになる。ちなみに、第一話と最終話のみフルカラーで、それ以外は二色カラーで描かれており、実在の人物に関しては(山田コーチ以外は)原則として写真のみの登場である。
 全編通じて写真とイラストを駆使したテニス入門書で、実に丁寧かつ読みやすく描かれている。さすがに古い作品なので、現代のテニス理論からは外れている部分もあるかもしれないが、最初に読むべき参考書としては、今でも十分通用するのではなかろうか。
 正直、この作品をココで紹介すべきか否か、かなり迷った。内容は間違いなく「テニス漫画」である。しかし、「歴史漫画」の枠の中に、横山光輝池田理代子と「まんが世界の歴史」を同列に並べるような、そんな違和感を感じてしまうのである。まぁでも、80年代のテニス漫画を読む上で、当時のテニス界の流行や風潮などを理解するための参考書としても活用出来るので、このレビューの読者の人々にもお勧めして良い内容だと思う。
 一応、本編の最後では「中級テクニックとダブルスは『テニス入門編・2』で行います」と語られているのだが、調べてみた限り、続巻が発行された形跡はないまま20年以上が経過しているので、実質的な1巻完結作品として取り上げさせてもらった。当然のことながら本書も絶版である。再販の可能性もほぼゼロなので、興味がある人は見つけたら即買いすべきであろう。