私が点数を付けない理由

 漫画レビューサイトの中には、御自身の判断で、作品ごとに点数を付けている人達がいます。これは、購入する側にとっては一つの基準になりますし、「本当にお薦めしたい作品か否か」ということを明確化出来るという意味で、紹介する人にとっても便利な指標だと思います。
 しかし、ウチではその手の点数は一切付けていません。これは「自分の『見る目』に自信がないから」というのもありますが、それ以上に「私と同じ視点で作品を評価する人がいるとは思えないから」という理由が強いのです。
 以前、某所で「ラーメン評論家」の人々に対して、「一年で何百杯もラーメン食べてる人達の舌は、既に普通の人の味覚とは乖離してしまっている」というコメントを読みましたが、同じことは「漫画評論家」の方々についても言えると思います。一年に何百冊も漫画を読む人々が「面白い」と思う作品が、「普通の人々」にとって面白いとは限らないでしょう。
 しかし、それでも有名な「ラーメン評論家」や「漫画評論家」の人々が提示する「点数」は、それなりに重宝されます。それは、「一年に数百杯/冊」とまではいかなくても、「一年に数十杯/冊」のラーメンや漫画を楽しむ人々は世の中に沢山存在し、それらの「普通とマニアの狭間の人々」にとっては、専門家の評価もそれなりに役には立つからです。
 ですが、この「テニス漫画レビュー」の中の私は、いわば「チャーシュー評論家」のような立ち位置なのです。「上手いか否か」よりも先に「チャーシューが入っているか否か」を基準に料理を選ぶ、そんなことを繰り返しているうちに「誰とも共有出来ない感性」が私の中で芽生えてしまっていることは、想像に難くありません。こんな感性の人間が提示する点数など、誰の参考にもならないでしょう。
 なので、私はこのレビューを通じて「ここが面白かった」「この点はイマイチ」といった形で内容を紹介することで、「どんな趣向の人向けの作品なのか?」という情報は提示しますが、ブログ全体の統一基準としての「点数」は、今後も提示するつもりはないです。究極的には「どんな形でテニスが絡んだ物語なのか?」ということさえ伝わればそれで良い、と私は思っておりますので。