はるえるぽん『3(スリー)レボリューション』

3レボリューション 第1巻 (あすかコミックス)

3レボリューション 第1巻 (あすかコミックス)

連載:『Asuka』(2003〜2004年)
単行本:角川書店あすかコミックス(2004年) 全2巻


 『コンプレックス192』などで有名な角川系漫画家はるえるぽんが『Asuka』にて描いた連載作品。単行本としては全2巻で発売された。作者はその後、秋田書店の『月刊プリンセス』にて『モッケの神様』を連載。
 主人公は、鳴瀬家のサクヤ(高2)、アキト(高1)、トモヤ(幼稚園児)の三兄弟。彼等の両親は海外勤務のため、3人だけで暮らしている。サクヤは弟想い(というより、トモヤに対する重度のブラコン)の良き長兄なのだが、オカルトマニアで、高校で結成した超常現象研究会の活動を自宅でおこなっている。アキトは常識人であるが故にそれに反発しつつも、いつも兄のペースに巻き込まれてしまう。そんな彼等が近所の神社で獅子座流星群を見ていた時に、犬に似た姿の謎の未確認生命体・ピロシキが現れるところから、物語は始まる。
 一応、形式的には3人が主人公だが、実質的には「ツッコミ役」としてのアキト視点で物語は進んでいく。そして、ピロシキの持っていた謎のカプセルに入っていた物体に触れてしまった3人の身体に、三者三様の異変が生じることになり、そのことが巻き起こすトラブルを中心としたドタバタコメディが物語の軸となる。
 で、「テニス漫画」的要素がどこにあるのかというと、実は僅か1頁しかない。それは第2巻収録の第6話で、ほんの一瞬だけ、彼等が通う白華嶺学園付属高校のテニス部員とそのコーチが登場する場面である。彼女達は某有名作品の登場人物のパロディなのだが、正直言って物語全体の流れとは殆ど関係ない(別に、彼女達が野球部でもサッカー部でも全く問題ない)。ただの一発ネタとして出したかっただけのキャラなのだろう。
 正直、最初の頃は設定がゴチャゴチャしすぎて、話のテンポも微妙なのだが、段々とこの物語のテンポに慣れてくると、これはこれで面白い。特に、終盤において明かされるピロシキの正体は、なかなか秀逸な設定ではないかと思う。ただ、途中からいいカンジに物語を引っ掻き回してくれていた(サクヤの友人の)神楽坂が、終盤では全く茅の外のまま終わってしまったのが、ちょっと残念。彼を絡めた方が、より面白くなったのではないかな、と思う。まぁ、逆に収集つかなくなってたかもしれないけど。