いけだじゅん『スクぱ!』

スクぱ! 1 (バーズコミックス)

スクぱ! 1 (バーズコミックス)

連載:『コミックMAGNA』(2007〜2008年)
単行本:幻冬社BIRZ COMICS(2007〜2008年) 全2巻


 『ごむまり』の作者でもある、いけだじゅんが、webコミック誌の『MAGNA』にて描いた作品。同誌の休刊に至るまで、全21話かけて描かれたが、正規の単行本(全2巻)に収録されたのは16話までで、その後の話をまとめた「3巻」は同人誌として発行された(ちなみに、今でもまだMAGNAのホームページで17話以降の話を読むことは可能)。昨今の作者は『まんがタイム』系の雑誌などで活躍中。
 主人公は、女子高生の天木青空(あまぎ・そら)。常にポジティブ&アグレッシブな青空にとって学校は「遊び場(Park)」であり、いつもクラスメイト達を巻き込みながら、様々な即興ゲーム(勝負事)を楽しんでいる。そんな彼女を取り巻く、テニス部所属で世話好きの緒川遥希(はるき)、優等生なのにネガティブ志向な大宮楓子(ふうこ)、小柄で料理上手な新井美日夏(みにか)、漫研所属の眼鏡少女・三崎奈直(ななお)といった面々が、青空に振り回されながらも、学校生活を楽しんでいく様子が描かれる。
 全体的なノリは『ごむまり』と同様の、近年の萌え系四コマ誌に見られるような「学園まったり系」である。1巻の最後でちょい百合的展開が入ったり、2巻では男子生徒とほんの少しだけ接近したりする話もあるが、本格的な恋愛描写に発展することはなく、あくまで「友情」の枠内で話を収めている点が、私の中では好印象。こういうノリの漫画で、安易に長々と百合ネタを引っ張るのは好きではないのですよ、私は。
 テニス描写に関しては、第一話で緒川と青空が「テニスラケットを使った学内ゴルフ」という謎のゲームで勝負する話があるものの、まともにテニスが描かれる場面はほぼ皆無である。せっかくだから、『ごむまり』の時の経験を生かして、もう少し遥希のテニス部設定を使って欲しかったとも思うのだが、逆にネタがカブることを回避する思惑もあったのかもしれない。まぁ、本作品のコンセプトを考えれば、無理に入れる必要もないしね。
 さすがに本業がイラストレーター(?)なので、絵は上手いと思うし、漫画としてもテンポよく読める構成だと思う。それぞれの話のオチは弱いと思うが、そこも含めて「まったり感」を楽しむ漫画だと思えば、これはこれで悪くない。