中山文十郎(原作)/ぢたま(某)(作画)『まほろまてぃっく』

まほろまてぃっく (1) (Gum comics)

まほろまてぃっく (1) (Gum comics)

初出:『コミックガム』(1999-2004年)
単行本:ワニブックス・ガムコミックス(1999-2004年) 全8巻
    ワニブックス・ガムコミックスプラス(2006年) 全8巻


 『うしおととら』や『同級生』の小説版の作者でもある中山文十郎と、成年漫画家として活動していたぢたま(某)のコンビが『コミックガム』にて描いた作品。2001年と2002年に二期にわたってBSiでアニメ化され、2009年には特別編が製作された。その後、中山文十郎緋賀ゆかりと組んで『シャイナ・ダルク』を発表し、ぢたま(某)は『kiss×sis』などを連載中。
 謎の異星人「セイント」達が水面下で地球人と接触しつつある中で、密かに結成された秘密結社ヴェスパーが開発した戦闘用アンドロイド・まほろ(V1046-R MAHORO)が、自らの過去の贖罪のため、両親を亡くした男子中学生・美里優(すぐる)の家にメイドとして住み着き、残り少ない稼働時間(1年程度)を優のために捧げようとする、という物語。
 いわゆるメイド・ブームの火付け役となった作品の一つであるが、決してただのラブ(エロ)コメ作品ではなく、SFとしての完成度も非常に高い。特に「管理者」登場以降、徐々に明らかになっていく地球とセイントとの関係、優の一族の秘密、管理者を率いるベルナールの真意、そしてまほろの正体、といった鍵的諸要素の見せ方が絶妙で、最後まで読者を飽きさせない。
 無論、掲載誌が掲載誌なので、エロ要素もふんだんに盛り込まれており、純粋な萌え漫画としても十分に面白い。まほろだけでなく、級友、教師、(途中から登場する)サイボーグ戦士に至るまで、それぞれの女性キャラ達の心理描写が非常に上手く、素直にハーレム漫画としても楽しめる。
 なお、テニスに関しては、級友の一人の浜口(通称:はまぢ)がテニス部所属で、その部活風景が何度か登場する程度であり、物語的に意味のある描写は、5巻の終盤でエロ妄想(?)のネタとして登場する程度である。なので、テニス漫画として評価すべき点はほぼ皆無だが、そんなことは脇に置いといて、純粋に漫画としての面白さを堪能して欲しいと思える作品である。