青山広美(原作)/山根和俊(作画)『ギャンブルフィッシュ』

GAMBLE FISH 7 (少年チャンピオン・コミックス)

GAMBLE FISH 7 (少年チャンピオン・コミックス)

連載:週刊少年チャンピオン(2007〜2010年)
単行本:秋田書店チャンピオンコミックス 全19巻(2007〜2010年)


 『バード』『トーキョーゲーム』『格闘太陽伝ガチ』などで有名な青山広美が、『ジハード』『超弩級戦士ジャスティス』『JOKER』などで知られる山根和俊とのコンビで『週刊少年チャンピオン』にて連載した作品。
 主人公は、中学2年生の天才ギャンブラー・白鷺吐夢(しらさぎ・とむ)。日本最高峰のエリート養成校・獅子堂学園に転校してきた彼が、手持ちの100円をギャンブルを通じて100億にする約束と宣言し、教頭の阿鼻谷(アビダニ/通称アビィorアヴィ)を筆頭とする個性豊かな強敵達と、コイン、トランプ、ビリヤード、ダイス、麻雀など、様々な賭博で対決する、という物語。
 吐夢の対戦相手の大半は(山根和俊の得意とする)巨乳美女達であり、勝負師としても実力者揃いの彼女達との(青山広美の真骨頂である)トリック&トリック破りを利用した駆け引きと、その過程で様々な理不尽な理由で脱がされていく彼女達のお色気シーン、そして最強のライバルであり最大の変人であるアヴィの繰り出す数々の奇行こそが、本作品のエッセンスである。
 そして、実質的なメインヒロインである学園長の孫娘の美華はテニスのインターハイ優勝者という設定であり、第7巻ではアメリカのドーン財閥の娘・エミリーとのテニス対決が描かれる。ここは、本編では基本的に脱衣要員としての見せ場ばかりの美華が、本来の実力を発揮出来る数少ない場面であり、その必殺技「ゴージャス・ライトニング」を放つ場面は必見である。
 吐夢の戦略は常に過激(エクストリーム)であり、口八丁で相手を動揺させつつ、時には自分の身体の一部をも犠牲にする奇想天外な作戦には、常に度肝を抜かれる。その意味では、初期のBJ勝負があまりに面白すぎたのに対し、中盤戦はややトーンダウンした感は否めないのだが、終盤では再び初期の頃を上回る過激な展開で楽しませてくれる。謎の一部が不明なまま終わってしまったのは残念だが、純粋な娯楽作品としての完成度は極めて高い。