にしむらともこ『空色☆スクランブル』

空色・すくらんぶる 3 (ちゃおフラワーコミックス)

空色・すくらんぶる 3 (ちゃおフラワーコミックス)

連載:『ちゃお』(2002-2004年)
単行本:小学館ちゃおコミックス(2002-2004年) 全3巻


 『天使のはぴねす』の作者でもあるにしむらともこが『ちゃお』で描いた初期の代表作『すくらんぶる-b』の続編。同シリーズは他に番外編として『虹色☆すくらんぶる』『卒業☆すくらんぶる』がある。現在の作者は同誌にて『極上!!めちゃモテ委員長』を連載中(アニメ版も放映中)。
 主人公は、青琳学園中等部の生徒会長・二ノ宮空(そら)。活発・元気系少女である彼女が、先代の生徒会長にして彼氏でもある(現在高1の)日生帆志(ひなせ・ほし)から生徒会長職を引き継ぎ、学園を楽しく盛り上げることを目指しつつ、様々なトラブルに立ち向かっていく、という物語。
 空と帆志を中心とする主要メンバーは前作からの引き継ぎであり、最初から帆志が空の彼氏としてのポジションに落ち着いた状態で物語が始まる。一応、二人の間に割って入ろうとする新キャラも登場するが、二人共一途な性格のため、あまり恋愛方面でグダグダすることなく、読者としても安心して、純粋にテンポの良い学園ドラマとして楽しめる。
 物語構成としては、単行本の各巻がそれぞれ一つずつのエピソードになっている訳だが、最後の3巻では空が紅皇(こうおう)学園の生徒会長・神楽冬湖(かぐら・トーコ)が登場し、物語の序盤で彼女とテニス(空は帆志と組む形での混合ダブルス)で対決するエピソードが描かれる。絵的には特筆すべき何かがある訳でもないし、物語上、別にテニスである必然性はあまり無いのだが、比較的丁寧に描かれている点は好感が持てる。
 もともと作者が学年誌出身ということもあるが、全体的にはやや児童漫画寄りの少女漫画というのが正直な印象。『うわさの姫子』を現代風にアレンジしたらこんなカンジになるのではなかろうか。新キャラの大半も、最初は敵対的オーラを出しながらも、なんだかんだで「いい人」に落ち着いているので、読後感も悪くない。個人的には、特にトーコがお気に入りかな。