みつきかこ『あい・ひめ〜愛と秘めごと〜』
- 作者: みつきかこ
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2006/08/25
- メディア: コミック
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単行本:小学館フラワーコミックス(2006〜2007年) 全3巻
『キス/はぐ』や『ソラログ』などで有名なみつきかこの初期の連載作品(作者にとっては、初の複数巻にまたがる連載作品)として『別冊少女コミック』にて描かれた。現在の作者は同誌にて『DEAR!』を連載中。
物語は、両親と離れて暮らすことになった女子高生の主人公・高木まおが、桜の木の下で謎の美青年・仁也と出会い、恋に落ちる場面から始まる。その後、両親の紹介により、彼が「血の繋がらない叔父」であることを知らされると同時に、両親の海外赴任中は彼と共に暮らすことを告げられる。
物語の見所としては、とにかく仁也がカッコいい。ひたすらクールなホテルマンで、誰もが惹かれる大人の魅力に満ち溢れている。一方で、まおの方も(少女漫画にありがちな)「どこにでもいる普通の子」ではなく、明確に「学内にファンの多い美少女」という位置付けのため、恋物語としての設定には全く無理がなく、禁忌でありながらも自然な展開として楽しめる。
一応、叔父と姪という「禁断の愛」の物語ということもあって、作中では様々な障害が立ちはだかるのだが、それらを乗り越えていく描写が、良くも悪くも非常にあっさりしており、ハラハラさせる要素は薄い。どちらかというと、二人の甘々な関係をニヤニヤしながら楽しむタイプの作品である。
なお、まおの所属はテニス部であるが、基本的に幽霊部員なので、テニスの場面は滅多に出てこない(第2巻で一瞬描かれる程度)。友人に「高木がいると男子ギャラリーが増える」と言われるなど、あくまで「モテ要素」を表現する記号として導入された設定にすぎないので、それ以上の意味はない。
個人的には、絵が非常に好み。ふわっとした印象のまおと、大人な仁也のコントラストも見事であるし、そんな二人が少しずつ距離を詰めていく過程も上手い。一応、性描写も描かれることにはなるが、それほど濃厚な描写ではないので、その点であまり嫌悪感を抱かせることもないだろう。