茶畑るり『へそで茶をわかす』

へそで茶をわかす 1 (りぼんマスコットコミックス)

へそで茶をわかす 1 (りぼんマスコットコミックス)

連作:『別冊りぼん』(1992〜2000年)
単行本:集英社りぼんマスコットコミックス(1995〜2000年) 全3巻


 エッセイストとしても有名な四コマ漫画家・茶畑るりのデビュー作にして代表作。8年間にわたって『りぼん』で長期連載された(ちなみに、連載開始時点で作者は14歳)。近年の作者は芳文社の四コマ雑誌などで活躍中。
 主人公は、女子高生の江崎ぐりこ。常にマイペースな彼女の奇妙でシュールな言動に、親友の水田まり、まりの兄・マリロー、先輩の鬼熊など、周囲の人々が巻き込まれていく話が中心。ただし、途中からはぐりこの父・やすお(通称:ジョニー)や、ぐりこの級友・マサコなど、ぐりことはまた異なる形のボケ役も加わり、ギャグのバリエーションも広がっていく。
 序盤の頃はかなり絵も荒く、ネタの面白さにもムラがあるのだが(正直、ホントに面白いのは5本に1本くらいだった)、段々と作画もネタの安定感も向上していき、終盤では普通に何度も吹き出してしまうレベルの作品へと発展する。もっとも、この手の四コマは読み手の世代や描かれた時代によっても笑えるか笑えないかは左右されるので、一般的な評価を下すのは難しい。
 また、8年間の長期連載だったこともあり、序盤では「数字しか打てないポケベル」が登場していたのが、途中から「文字変換可能なポケベル」へと進化し、最後の頃には普通に「携帯電話」が高校生の間で普及している辺りも、時代を感じさせて面白い。
 テニス漫画要素としては、まりがテニス部所属という設定が、本編で一回だけ登場するのだが、別にその話でも彼女はテニスウェアを着ている訳でもなく、ラケットもボールも登場しないので、実は本ブログで取り上げる価値はほぼ皆無なのだが、最近はそれでも取り上げないとネタが続かないのよ。
 個人的には、サブキャラのムーちゃん(多分、本作中で一番の常識人)がお気に入りなのだが、断片的にしか出番が無いのが残念。まぁ、ツッコミ役はまり一人でも足りると言えば足りるので、仕方ないのだけどね。彼女とマリローのやりとりとか、結構好きだったなぁ。