ななじ眺『パフェちっく!』
- 作者: ななじ眺
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2000/09/25
- メディア: コミック
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単行本:集英社マーガレットコミックス(2000〜2007年)
現在は『マーガレット』において『コイバナ!〜恋せよ花火〜』を連載中のななじ眺(ながむ)が、同作品以前に同誌で描いていた、出世作にして代表作。2004年にはドラマCD化され、現在は台湾でドラマ版が放映中。
主人公は、集合住宅に住む15歳の少女・亀山風呼(ふうこ)。彼女の家の上の階に、新保壱(しんぼ・いち)と新保大也(だいや)という、風呼と同じ県立南乃高校に入学する予定の二人の美少年(従兄弟同士)が引っ越してくる場面から物語は始まる。日頃は無愛想な優等生だが、稀に優しい笑顔を見せる壱と、日頃はカルいノリのプレイボーイだが、稀に寂しげな表情を見せる大也。この二人と風呼の三角関係を中心に物語は展開していく。
高校入学後、大也と風呼はテニス部に所属することになるのだが、作者自身が「スポーツが苦手」であるが故に描写を避けたことを認めている通り、部活の日常風景は多いものの、まともに競技が描かれる場面は殆どない。その意味で、あくまで男女混合の部活としての舞台提供と、本編中最萌えキャラである藤秋桜(ふじ・あきお)先輩を登場させるための設定にすぎない。
終盤まで「少女漫画的には、どっちもアリ」な展開だけに、三角関係としては非常に面白いのだが、「選ばれなかった方」のファンにとっては辛い結末でもある(ちなみに、私の1巻の時点での予想は外れた)。また、中盤の展開が(良くも悪くも)じっくり描かれている割に、最終回の描写があっさりしすぎている感も否めない。まぁ、それも「あえて読者にイマジネーションの余地を残す演出」という意味では、一つの作風としてアリだと思うけど。
加えて、移り気で揺らぎやすい風呼の性格も、好き嫌いが分かれるだろう。でも、私は「最初から最後まで迷わない娘」より、こうやって迷って悩んで苦しむ娘の方が、実在感があって好きかも。まぁ、影近さん(後半登場)みたいな一途なドMストーカー娘も、それはそれで好きなんだけどね。