橋口隆志『ゴーゴーえっちゃんの キャスター参るゾ!』

連載:『週刊少年サンデー』(1995〜1996年)
単行本:小学館サンデーコミックス(1996年) 全2巻



 『超速スピナー』や『焼きたてジャぱん』などで有名な橋口隆志(or橋口たかし)が『週刊少年サンデー』で初めて担当した連載作品。正式なタイトルは上記の通りだが、実質的には『キャスター参るゾ!』がメインで、前半部分は小文字で書かれているにすぎない(故に『キャスター参るゾ!』としか書かれない時もある)。現在の作者は同誌にて『最上の命医』を連載中。
 ブピテレビのスポーツニュースを担当するキャスター・大宮越子を主人公とした、毎回10頁程度のショートギャグ作品。美人で破天荒な性格の彼女が、様々な(主に女性の)スポーツ選手の取材に行きつつ、彼女達の悩みをセクシー(を通り過ぎて下品?)な発想法で解決していく、というのが初期の話の中心であったが、途中からはキャスターという枠を飛び越え、政治家に転身したり、AVに出演したりするなど、様々な方面に話が迷走していく。
 主人公の名前も含めて、実在&架空の人物のパロディが多いのだが、その第一弾として初回に登場したのが、テニス選手の館君子(たて・きみこ)と胸肩(むなかた)コーチである。二人とも、外見は元ネタの特徴を生かしたデザインになっているだけに、本編のあまりに下品なギャグとのギャップがヒドい。特に後者は無駄に似すぎているだけに、そのヒドさが際立つ。
 なお、この第1話のラストでは、テニスのセオリーどころかルールすらも無視した手段で解決(?)することになるのだが、その程度のことがどうでもよく思えるくらい、本編の後半では荒唐無稽な展開が描かれることになる。
 正直、10頁作品としてはギャグが詰め込み過ぎな印象は拭えないのだが、それを強引なテンションだけで無理矢理に押し切ってしまう強引な作風は、かなり読み手を選ぶと思う。『ジャぱん』の終盤の大暴走を許容出来て、なおかつ下ネタに耐性のある人なら楽しめるとは思うが、今の『最上の命医』のような作風が好きな人達には、あまりお勧め出来ないかもしれない。