芸能人と同姓同名のキャラ

 上述の通り、今回紹介した『龍一くんライブ』の主人公は、日本を代表する某有名作曲家と完全に同姓同名です。時期的に言えば、YMO人気の最盛期なので(しかも、二人の兄の名が「幸宏」と「晴臣」)、偶然の一致ではないことは確かです。
 しかし、本作品における龍一くんは、別に作曲も演奏もしません。坂本教授を連想させるような要素は何一つ持っていないです。それ故に、なぜこのようなネーミングにしたのか、正直言って、意図がよく分かりません(多分、純粋に作者の趣味でしょう)。
 同様に、芸能人の名前“だけ”をそのまま拝借した例としては、『キャプテン翼』における「小田和正」くん(ふらの小→ふらの中)などが挙げられますが、このように「何のひねりもなく、全くそのまま同姓同名のキャラ」はむしろ珍しく、同じチームの「松山光」くんのように、ちょっとモジったネーミングにすることが多いと思います。あるいは、「名字」と「名前」をそれぞれ別の芸能人同士で組み合わせるパターンも、よくあると言えるでしょう。
 では、なぜ「芸能人そのままの名前」ではなく、「少し変えた名前」が多いのかというと、やはり、前者の場合はどうしても芸能人そのもののイメージに引きずられてしまうからではないかと思います。故に、松山くん級のセミレギュラーキャラの場合は、ちょっと変えた方が良いと思ったのでしょう。これに対して、小田くん程度のサブキャラの場合は、「捻るのも面倒くさいから、そのままでいいや」と判断されたのかもしれません(全くの憶測ですが)。
 一方、海外の芸能人の名前に関しては、『BASTARD!!』の面々のように、ほぼそのまま借用するパターンもよくあります。この理由としては、国内の芸能人に比べて読者層の間での知名度が低い(場合が多い)ことと、日本の漫画に登場させたところで、本人達の目に留まる可能性が低いだろう、という認識が根底にあるのではないか、とも思います(同様のことは、既に他界した歴史上の人物の名前を用いる場合にも言えると思います)。
 そう考えると、この『龍一くんライブ』のように、主人公に、国内の存命の有名芸能人の名前を(別にその人物をモデルにしているという訳でもないのに)つけるというのは、かなり異例だと思うのですが、他にも似たような事例の作品(主人公)って、いるんでしょうか?(スポーツ選手まで含めれば、『BECK』みたいな例もあるんですけどね) もし、何か心当たりのある方がいれば、教えて下さい。