柴山薫『チャラ!』

連載:『月刊少年ジャンプ』(1995年)
単行本:集英社ジャンプコミックス(1996年) 全2巻


 『月刊少年ジャンプ』で、『ライバル』『爆骨少女ギリギリぷりん』などを連載していた柴山薫が、左記の両作品の間に短期連載していた作品。作者はその後、主戦場を竹書房に移して活躍していたが、2007年4月14日、急性心不全により、他界(享年43歳)。
 大財閥の一人娘で、父親に勧められた婚約話から逃げるために家出した15才の少女・光瀬葉月(みつせ・はづき)が、不動産屋の手違いで、中学時代に「天才テニス少年」として名を馳せた同い年の日向(ひなた)タクマと同部屋に住むことになってしまう、という物語。タクマは高校進学を機にテニスから足を洗おうとしていたのだが、なりゆきで葉月と共にテニスをすることになり、更に同級生のテニス少女・神谷あずさとの出会いや、かつてのライバル・影山功一との再会などを経て、少しずつテニスへの情熱を取り戻していく。
 全体的にテニス描写の割合は低く、どちらかというと葉月の入浴シーンを中心とした、月ジャンならではの「お色気漫画」のイメージの方が強いが、それでも数少ないテニスの場面はそれなりに丁寧に描かれていると言える。
 ただ、物語全体としては正直言ってかなり展開に無理があり(まぁ、「そういうモノ」だと割り切ってしまえば済む話ではあるのだが)、また、タクマがテニスをやめようとした動機も、やや説明不足のように思われる。というか、てっきり私は、第一話で彼が話していた独白はあくまで「後付け」で、その裏に何か深いエピソードが隠れているものなのだと思っていたのだが…………。まぁ、単行本二巻で終わった作品なので、もしかしたら、作者としても何か構想があったものの、それを描く前に打ち切りになってしまったのかもしれない(作者の前後の連載作品と比べても、明らかに本作品だけ短すぎるので、どちらにしても打ち切りであった可能性は高いと思う)。
 まぁ、私はこの人の絵は結構好きなのでそれなりに楽しめたのだが、キャラ萌え以上の魅力があるか、と言われると、少々微妙だとは思う。とりあえず、表紙を見て興味が涌いたら買ってみる、というのが良いのではなかろうか。