永井豪『まいるど7(せぶん)』

まいるど7 (SPコミックス)

まいるど7 (SPコミックス)

連載:『週刊少年チャンピオン』(1981年)
単行本:秋田書店チャンピオンコミックス(1982-1983年) 全3巻
    リイド社SPコミックス(2005年)前1巻


 『デビルマン』『マジンガーZ』『キューティーハニー』など、世界的に有名な作品を数多く生み出した日本漫画界最高峰の巨匠の一人・永井豪が『週刊少年チャンピオン』で描いた作品。ちなみに、タイトルの由来はおそらく(内容から察するに)煙草銘柄ではなく「ワイルド7」のパロディだと思われる。
 主人公・まいるどドラェ門を筆頭に、妻・ママコ、長男・ド太郎、次男・ド次郎、長女・蜜子、三男・史郎、末っ子・どん平という七人の「まいるど家」の面々が、法律・倫理・常識の全てを無視して、ただひたすら本能のままに暴れ回る作品。実質的な本作品のヒロインである長女の蜜子は清純女学園中学のテニス部の部長であり、第六話では彼女を主人公とした「ノーパンテニスの巻」が描かれる。
 本作品を読む上でまず留意すべき点は、「真面目に読んだら、負け」ということである。毎回、オチらしいオチもなく、何の脈絡もない展開でエロと暴力をひたすら詰め込んだだけの内容であり、普通に読んでも面白いと思える要素は殆どない。おそらく、不快感を感じるだけで全く楽しめない人も多いだろう。あくまでも「ゲテ物料理」と割り切った上で、そのゲテ物さ加減を楽しむ余裕のある人にだけお勧め出来る、そんな作品である。
 その上で、ここで実質的にレビュー対象となる第六話に関してコメントすると、サブタイトル通り、蜜子達がノーパンでテニスの試合をさせられるという内容で、それ自体はエロ漫画においては決して珍しい手法ではない。しかし、相手校の「ビースト学園」の設定、および試合の途中からの展開に関しては、もはやテニス漫画でもエロ漫画でもない、本当にただ勢いだけで描かれている暴走漫画としか呼べない内容であり、このような作品を生み出せる永井豪という作家には、色々な意味で脱帽させられる。
 ということで、決して普通にお勧め出来る作品ではないことは再度強調しておく。あくまでも、永井豪マニアやゲテ物喰いを自覚する人々にのみ購入を推奨出来る作品と言えよう。