新條まゆ『SEXYガーディアン』

Sexyガーディアン 2 (フラワーコミックス)

Sexyガーディアン 2 (フラワーコミックス)

連載:『少女コミック』(1996年)
単行本:小学館フラワーコミックス(1996〜1997年) 全2巻
    小学館文庫(2009年) 全1巻


 『快感フレーズ』で有名な新條まゆの初期の作品。少コミで連載され、終了後に描かれた番外編(実質的には別作品)を同時収録する形で単行本化された。現在の作者は『あやかし恋絵巻』(マーガレット)、『ハートのダイヤ』(りぼん増刊号)、『愛俺!』(ASUKA)、『ジオン公国幼年学校』(ガンダムエース)、『エリート!!』(ヤングマガジン)などを連載中。
 主人公は、元男子校で共学化したばかりの秋徳院高校の学長の姪・早乙女純名。叔父の頼みで同校に転校してきた彼女が、男子生徒達に襲われそうになったところを、長身の美男子・不和紫吹(しぶき)に助けられる場面から物語は始まる。紫吹は学長から彼女のボディーガードを任された生徒なのだが、純名は彼に一目惚れしてしまい、彼への想いに翻弄されることになる。
 「まゆたん=エロ少女漫画の開祖」と言われがちだが、本作品は快感フレーズよりも前の時点ということもあり、(確かにベッドシーンもあるが)まだそれほど露骨にエロスを全面に打ち出した作風ではなく、どちらかというと、「(能力的にも性格的にも)女性にとっての理想像」そのものである紫吹の総合的な魅力に酔わせるタイプのストレートな少女漫画である。
 ちなみに、紫吹はいくつかの部活を掛け持ちしているのであるが、その中の一つにテニス部があり、第2巻の序盤で彼がテニスの交流試合に出場する話が描かれる。ただ、絵的にも展開的にもあまりこの点に力を入れているとは思えず、正直言ってテニス部である必然性はない。あくまで「他校に行く」というイベントのための理由付け程度の位置付けに留まっている。
 基本的に「純名が紫吹に一途に愛される」というだけの話であり、途中で発生する障害&その解決策も、あまり意外性があるとは言えない平凡な展開なのだが、そんな細かいことは気にせず、ひたすら純名に感情移入して「守られる幸せ」を感じることが出来れば、十分に楽しめる作品だと私は思う。