芦原妃名子『天然ビターチョコレート』
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単行本:小学館フラワーコミックス(2001〜2002年) 全3巻
2007年春にTBSで昼ドラ化することが決定した『砂時計』の作者である芦原妃名子が描いた恋愛スポーツ漫画。作者の他の代表作としては、同じく別コミ(現『Betsucomi』)で連載された『天使のキス』『Girls Lesson』などが挙げられる。
主人公は、高校一年生の遠藤千夏(ちなつ)。一年生でインターハイに出場した経験を持つテニス部二年の葛西由行に一目惚れしたことを契機にテニス部に入部するところから物語は始まる。以後は千夏と由行を軸に、千夏の幼馴染みである野球部の室田育(むろた・いく)、千夏の妹の小雪、葛西の通うテニスクラブのオーナーの娘である神田椿、といった面々による、展開の激しい恋物語が繰り広げられることになる。
物語の主要なテーマはあくまで「恋愛」の方なのだが、作者自身が学生時代にテニス経験者だったこともあって、テニスパートにそれなりの頁数が割かれており、女子テニス部内での厳しい上下関係などの描写もリアルで面白い。
そして、ある意味でもっと「リアル」なのが、本作品のメインである恋愛模様である。登場人物達が基本的に「自分のことしか考えない人々」ばかりで、「都合のいい男」も「都合のいい女」も登場しない。故に、はっきり言ってラストはかなり「ひどい結末」であるし(せめて最終回前にあと一話あれば、もう少し納得出来る形になっていたかもしれないが)、「報われる人」と「報われない人」がはっきり分かれる展開である。まぁ、これ以上はネタバレになるので伏せておくが、一筋縄では終わらない恋愛物語、とだけは言っておこう。
個人的にお気に入りなのは、テニス部の先輩である立川アキである。基本的に彼女は作中での恋愛事には一切関わらないのだが、実質的に一番不幸だったのは彼女なんじゃないかなぁ、というのが私の実感。
タイトルの通り、恋愛においてもテニスにおいても、あくまで「ビター」な展開が描かれる本作品なので、好き嫌いは分かれると思う。なんだかんだで私は結構好きなのだが、出来れば他の人々の感想を聞いてみたい作品でもある。